子どもの頃、家に小さな暗室があった。オレンジ色の薄明かりの中で父の膝に乗り、現像液に浸した印画紙をのぞき込んだ。白黒の像が魔法のように浮かび上がると、心が躍った。
写真は「光と時間の化石」という。モノクロームのブレぼけ写真で有名な森山大道(だいどう)さんの言葉。84歳の今も現役を続ける写真家は、詩…