「むかでや」の巻 心込め「吉良」の領収書 ジョジョランド(1)仙台・奇妙な巡礼マップ
※この記事は2017年8月31日の夕刊に掲載されました。
人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の作者、荒木飛呂彦さん(57)は仙台市出身だ。第4部と第8部の舞台「杜王町」は仙台がモチーフで、ファンに愛される「聖地」がある。青葉区のせんだいメディアテークで9月10日まで開催中の荒木さんの原画展に合わせ、関連企画と共に探してみた。
アーケード街にある履物と和雑貨の店「むかでや」は、「ジョジョの奇妙な冒険」の一番の聖地として人気を集める。
第4部に登場する「靴のムカデ屋」では、はらはらドキドキの死闘が繰り広げられる。殺人鬼・吉良吉影は店主に上着のボタン付けを依頼する。殺人鬼の正体を探る主人公側は、あと一歩というところまで吉良を追い詰める。
むかでやを巡礼するファンの目当ては領収書。頼むと、宛名は「吉良吉影」、ただし書きは「ボタン付け代」と、ストーリーに合わせて書いてくれる。
日本縦断の自転車旅行中に立ち寄った台湾人の郭承錦さん(25)は「この店は台湾でも有名です」と領収書を手に笑顔を見せた。
「吉良」宛ての領収書は約20年前、ファンの一人に頼まれたのが始まりという。ネットで広がり、「ジョジョ展」開幕後は大勢が来店する。それでも実際の店主の林篤男さん(75)は作中のように「だが断る」とは決して言わない。「遠くから訪ねてくれるお客さまに『来て良かった』と喜んでほしい」と心を込めて領収書を切る。
リピーターや親子のファンも訪れる。次女の寛子さん(41)は「作品と共に店も愛されていると感じる。ファンには感謝の気持ちでいっぱいだ」と語る。
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