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コロナ禍前の企画が続々復活 【特集】久しぶりの通常開催 学園祭へようこそ

 秋の学園祭シーズンがやって来た。コロナ禍での中止や規模縮小を経て、今年は多くの大学で通常開催される見通しだ。編集部は、仙台圏9大学の学園祭実行委員会に声をかけて座談会を実施。今年の見どころをはじめ、企画運営のやりがいや苦労、裏話などを語り合ってもらった。

個性光る企画がずらり

(左から)東北工業大の稲川佳吾さん、 東北文化学園大の菊池匠之さん

 記録的な暑さが続く8月、編集部の呼びかけに応じて集まってくれたのは仙台圏9大学の21名。A・B・Cの3グループに分かれ、あらかじめ決めたテーマに沿って語り合った。

 Aグループのテーマは「今年の目玉企画」。現時点で公開可能な情報を教えてくれた。

 「花火大会を復活させ、芸能人の音楽ライブ、トークショーもあります」と東北文化学園大が胸を張ると、東北生活文化大・短大は「うちは裸芸で有名な芸人さんのお笑いライブがあります。さて、誰でしょう」と、突然のクイズ出題。答えは「ハリウッドザコシショウ」で、一同から「いいなー」という声が上がった。

東北医科薬科大の今村響貴さん。他校の開催概要が書かれた資料を見ながら、話に耳を傾ける

 4人組ロックバンド「Mr.ふぉるて」のライブを行う東北工業大は「結構な予算をかけて呼んだので、チケットが売れないとまずい。近距離で見られるので皆さんもぜひ」と猛烈アピール。ちなみに、もう1 つの目玉である「カミナリ」らのお笑いライブは無料とのこと。

一般公開に高まる期待

 お笑いライブを行う仙台白百合女子大は「今年は一般公開が2日間あるので、学生だけでなく多くの地域の方々と関わることができる」と期待する。

 東北医科薬科大の目玉は屋台村。「キッチンカーも呼ぶのでメニューは豊富。屋外特設ステージでアーティストライブもある」と気合十分だ。聖和学園短大もアーティストライブを行うほか「中庭のステージでダンスや書道パフォーマンスもやります」とPRする。

 ゲストを招いてお笑いライブを行う宮城学院女子大は「よさこいやダンスなど女子大ならではの華のあるステージもあります」と個性を主張。尚絅学院大は観覧無料のお笑いライブやカラオケ大会を行うという。

 2024年度に筑波学院大(つくば市)から名称変更し仙台にも開学する「日本国際学園大」は、仙台でオープンキャンパスを開き、つくばキャンパスの大学祭をライブ配信する予定だ。

一般来場者向けに工夫

(左から)東北生活文化大の坂井誠也さん、仙台白百合女子大の沼田莉奈さん、 東北医科薬科大の城戸伽胤(かいん)さん

 Bグループは、コロナ禍を振り返りながら今年の意気込みを語り合った。

 昨年は消毒や検温といった対策を徹底、学内入場に限定し「ステージをオンラインで生配信」(東北医科薬科大)したり、「一般入場は事前予約制」(聖和学園短大)にしたりと、規模縮小を余儀なくされた大学がほとんど。一般来場が可能でも「リストバンドを着けてもらって、一般、学内それぞれの入場者数を把握」(仙台白百合女子大)した大学もあった。

聖和学園短大の竹内ひなたさん

 それだけに通常開催される今年は「ポスターを制作して宮城県内の高校100校に配布。進路の参考にもしてもらう」(東北文化学園大)と広報活動にも気合が入り、一般来場者に楽しんでもらうため「景品を用意してビンゴ大会」(東北文化学園大、東北工業大)、「協賛企業の優待券などが当たる福引」(東北医科薬科大)、「店ごとに設置したスタンプを集めるとお菓子がもらえるスタンプラリー」(仙台白百合女子大)など趣向が凝らされている。

 「専攻ごとに役割分担し、服飾系がファッションショー、栄養系が屋台、美術系がポスター作成などの広報」(東北生活文化大・短大)のように、運営方法にも大学それぞれの個性があるようだ。

東北工業大の中山絹士さん

共通の悩みに意気投合

コロナ禍前の資料がなく、一から企画を立てている実行委員会が多い。高校時代の文化祭もコロナ禍で中止か縮小開催になっており、未経験のことばかりで悩みは尽きない

 Cグループは大学祭実行委員の「あるある」をテーマに盛り上がった。

 「協賛の電話かけや外部とのメールのやり取りを通して、社会に出てから役立
つビジネススキルが高まる」(尚絅学院大)、「部署に分かれて活動するので会社
のような体験ができる」(東北医科薬科大)、「メールの文章力が『成長』する。忙しいけれど楽しい」(東北生活文化大・短大)、「青春を感じる」(東北文化学園大)といった魅力が挙がる一方、「部署ごとに作っているLINEグループが増えすぎて、どのグループとどんな会話をしていたか戸惑うことも」(宮城学院女子大)と、苦労は尽きないようだ。

(左から)宮城学院女子大の浅野夏希さん、 東北医科薬科大の佐藤茉尋さん

 昨年までは声優をトークショーに呼んでいたという日本国際学園大からは「ゲストを呼ぶための金額に毎年驚く」という裏話や、「前日になって『あれもない』『これもない』と気付いて慌てる」といった「あるある」が飛び出した。

 登録されている委員の数は多いのに実働メンバーは少ないなど、人手不足や後継者育成は多くの実行委員会が抱える共通課題。参加者らは意気投合し、「トランプ大会など月1回、委員同士の仲を深めるイベントを開催」(東北工業大)、「部署ごとにバーベキュー」(尚絅学院大)といったアイデアも交換し合っていた。

日本国際学園大の矢治竜乃介さん。 つくば市から駆け付けてくれた

景品巡ってクイズ大会 個人と団体で挑戦

 座談会の後は、白熱のクイズ大会へ。景品を巡って個人戦、団体戦でし烈?な闘いが繰り広げられた。

 個人戦を制したのは、座談会でAグループの司会進行を務めた宮城学院女子大の上本千寛(ちひろ)さん。河北新報の記事から宮城県ゆかりのテーマで構成された「○」「×」2択の難問・珍問に次々正解し「生粋の宮城県民ということを証明できて良かったです」と笑顔を見せた。

個人戦で優勝した宮城学院女子大の上本さん。クオカードをゲット

 一方団体戦は、最後に残った人が「ヘルプカード」を使って先に脱落した仲間に助言を求められるルールが生かされず、カードを使うことなく全員脱落してしまう大学が続出。ヘルプカードを使って1人復活できる特別ルールが急きょ新設されるも、クイズでは決着がつかず、最後は尚絅学院大と東北医科薬科大、東北工業大三つどもえのじゃんけん勝負になだれ込んだ。

 優勝した東北医科薬科大チームは「復活してじゃんけんに勝っただけですが優勝できて良かった」とにっこり。

じゃんけんで負けてしまった尚絅学院大の山田海斗さん(右)。惜しい!
最後はじゃんけん勝負で団体戦を制した東北医科薬科大の3人。お茶の井ヶ田の急須と煎茶、新スイーツ「仙台みたいなタルト」を獲得

座談会参加メンバー&開催日程

 学園祭の準備で忙しい中、座談会に出席してくれた実行委員のメンバーと開催日を紹介しよう。

尚絅学院大の山田海斗さん

<尚絅学院大>
尚志祭
10月7日(土)・8日(日)
テーマ/彩祭(サイサイ)
問/TEL022-381-3308

尚絅学院大 尚志祭
東北医科薬科大の今村響貴さん(左)、城戸伽胤さん(中央)、佐藤茉尋さん(右)

<東北医科薬科大>
東北医科薬科大学 大学祭
10月8日(日)・9日(祝)
テーマ/Enjoyme!
問/TEL022-727-0089

東北医科薬科大学 大学祭
東北工業大の中山絹士さん(左)、稲川佳吾さん(中央)、佐藤未悠さん(右)

<東北工業大>
工大祭
10月14日(土)・15日(日)
テーマ/Contrast
問/TEL022-305-3330

東北工業大 工大祭
宮城学院女子大の浅野夏希さん(左)、上本千寛さん(右)

<宮城学院女子大>
宮城学院女子大学 大学祭
10月14日(土)・15日(日)
テーマ/YOLO~You Only Live Once~
問/TEL022-277-6271

宮城学院女子大学 大学祭
聖和学園短大の竹内ひなたさん(左)、久須美楓汰さん(右)

<聖和学園短大>
聖翔祭
10月21日(土)
テーマ/圧倒的自由
問/TEL022-376-3151

聖和学園短大
日本国際学園大の矢治竜乃介さん(左)、石黒楓さん(右)

<日本国際学園大>
KVA祭
テーマ/Chase your dreams
問/TEL029-858-4811

日本国際学園大
仙台白百合女子大の沼田莉奈さん(左)、三浦優里奈さん(右)

<仙台白百合女子大>
第56回白百合祭
テーマ/Every girl is a princess
問/TEL022-374-5029

仙台白百合女子大
東北生活文化大・短大の志子田空さん(左)、坂井誠也さん(中央)、立崎大成さん(右)

<東北生活文化大・短大>
東北生活文化大学 2023大学祭
10月21日(土)・22日(日)
テーマ/槿花一日
問/TEL022-272-7511

東北生活文化大・短大 2023大学祭
東北文化学園大の荒涼佑さん(左)、菊池匠之さん(中央)、髙田陸さん(右)

<東北文化学園大>
文化学園祭2023
10月21日(土)・22日(日)
テーマ/革新~青春をとりもどせ~
問/TEL022-233-6116

東北文化学園大

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写真 鈴木 信敏

(河北ウイークリーせんだい2023年10月5日号)