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<記憶の素描(26)芥川賞作家・石沢麻依>トルコ菓子行進曲

 モノクローム映画の中を歩いてゆく。11月の冷ややかな空気はレンズのように澄み渡り、街を包む閉塞(へいそく)感を灰色に映し出す。秋が冬に傾き始めると、イェーナの街は古い映画を思わせる佇(たたず)まいを見せることがある。曇り日の下、通りも家並みも妙に単調で、終わりなく続くものと見えるのだ。そんな時、似…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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