<311次世代塾>避難所運営 判断の連続/第7期第15回講座
仙台市職員の体験に学ぶ
東日本大震災の伝承と防災の担い手育成を目的に、河北新報社などによる通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第7期は1月13日、第15回講座を仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスで開いた。大学生と社会人ら54人が災害時の課題、損害保険の仕組みについて学んだ。
震災体験の記録と伝承に取り組む仙台市職員らの自主グループ「Team Sendai(チーム仙台)」のメンバーと、日本損害保険協会東北支部事務局長の生駒新一さん(56)が講師を務めた。
チーム仙台は防災士ら4人が「人の口から人の心に伝える」と題してワークショップを実施した。
聴き取った市職員約100人の体験の中から、若林区で避難所運営に従事した職員、避難者の心身のケアを担った保健師の事例を朗読。受講生は人員や物資が限られ、命を左右する判断を求められた職員の切迫した状況を疑似体験した。
メンバーの柴田恵美さん(57)は「体験談には生かすべき気付きや反省点がある。学んだことを家族や友人に伝え、防災意識を育ててほしい」と訴えた。
受講生は、災害時の対応を考えるカードゲーム「クロスロード」にも取り組んだ。「指定避難所ではない区役所で避難者を受け入れるか」「何も持たない人が多い避難所で、水や食料の入った非常持ち出し袋を開けるか」など、阪神大震災と東日本大震災であった状況に基づく質問に「イエス」「ノー」のカードを出し、判断した理由を話し合った。
自分でできる防災行動を考えるプログラムにも挑戦。「家族と避難場所を決めておく」など各自の案を出した。
生駒さんは「保険を中心とした民間支援の仕組み」と題して講話した。1日に発生した能登半島地震に関連し、国と民間の損害保険会社が協働で運営する地震保険制度を説明。「大地震の発生は損害が大きく、巨額の支払いに備えている。人生を変えるリスクに対する経済的な備えを知ってほしい」と呼びかけた。
<受講生の声>
■保険の知識必要
日本は地震や津波など災害が多く、保険の知識は必要だと実感した。クロスロードで他の人と話し合い、自分と違う意見は参考になった。避難時は互いの話を聞くことが大事。将来は小学校の教員になりたい。学びを生かし、子どもと共に防災に取り組みたい。(仙台市青葉区 東北福祉大1年 佐藤寛孝さん 18歳)
■連携で課題解決
生駒さんから地震保険の話を聞き、火災保険や自動車保険を含め、家族と契約内容の話をしてみようと思った。チーム仙台の取り組みから、被災後、さまざまな課題に直面したことが分かった。周囲の人と連携し、災害時の課題を解決する力を身に付けたい。(仙台市泉区 宮城学院女子大1年 斎藤優羽さん 19歳)
<メモ>
311「伝える/備える」次世代塾を運営する推進協議会の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工大、宮城学院女子大、尚絅学院大、仙台白百合女子大、宮城大、仙台大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構。