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<ごきげんポケット(26)>せり鍋 くどうれいん

 はじめてせり鍋を食べたのは、大学二年生の冬だったと思う。短歌サークルのみんなで歌会を終えて、たしかその日はだれかの誕生日だったとかで、ちょっと奮発しておいしいもの食べよう、という流れになったのだ。そこで宮城出身の誰かが「やっぱりせり鍋でしょう」と言い出した。「そうだよねえ」と咄嗟(とっさ)に知った…