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<音紡ぎ(34)>身体の声に聴く

 何が起きたのだろう…。状況が全く飲み込めなかった。ただ、身体の中で響いた「ブチッ」という音は、明らかに異変を告げていた。一昨年の今頃のこと。寒い日だった。

 授業へ行こうと、研究室のある建物から外へ出た。ブーツの中で足が泳ぎ、あらら、と思っているうちに自分の足の上にへたりこんだ。そこで「ブチッ」。立…