十数年前、石川県の能登半島を旅した。海沿いの集落の屋根は「能登瓦」と呼ばれる黒い瓦でふかれていた。板壁も黒く、伝統的な造りの家々が、海の青さと美しいコントラストを成していた。
10日前、能登半島地震の取材で珠洲市に入った。古い民家は軒並み1階が押しつぶされ、がれきが車道をふさいでいた。人影はほとん…