人気インフルエンサーで知る【特集】映える スマホ撮影術

　いまや生活に欠かせないスマートフォン。ちょっとした出来事があるたび、写真や動画を撮ることも多い。しかし、スマホのカメラ機能にはちょっとした「癖」があるのを知っている人は意外と少ない。人気のインフルエンサーやプロのカメラマンが、人物を撮影する際に実践する「映える」「使える」テクニックを探ってみた。

《「カシオレ写真」に見る「映え技」》

　インスタグラムや動画投稿アプリ「TikTok」で若者を中心に支持されているインフルエンサー「カシスオレンジ（カシオレ）」さん。2022年に始めたTikTokは、JR仙台駅前で撮影したダンス動画などが受け、１年足らずでフォロワー数が40万人を超えるほどの人気を得た。その映像を企画、撮影・編集するのは、プロデューサーの「一井 ichii」さんと「マネージャー」さん。実際に撮影された画像に隠された「映える」テクニックを、プロカメラマンの阿部和美さんに解説してもらった。

■Photo1

（プロの総評）

　漫画で用いられる「集中線」のように、仙台駅周辺の建物を使った「消失点構図」は見事です！ 白いカチューシャとマスクで顔が明るく見えるので自然とカシオレさんのお顔を見てしまいますね。

■Photo2

（プロの総評）

　画面の中央の「小顔ゾーン」、その下の「脚長ゾーン」を上手に使っています。「1/2構図」でマジックアワー（空の色が変化する朝夕の時間帯）の空が大きく映っているのもすてきです！

私たちの「映え技」

【撮影する側】小顔、脚長アングル意識　～「一井 ichii」さん、「マネージャー」さん～

　顔が小さく脚が長く見える下からのアングルや、カシオレに目が行くような構図を意識しています。また、地面のタイルなど、映像のいずれかに左右対称になるものを映すことで、落ち着きが出るようにもしています。

　一方、撮影場所として仙台駅西口を多く選ぶのは、「既視感」を重んじてのこと。パッと見ただけで仙台と分かるし、カシオレの映像と分かってもらえれば、見てもらえる確率が上がると考えています。

【撮影される側】画面からはみ出し注意　～カシオレさん～

　撮影の際は、スマホとの距離を一定に保つように立ち位置を決めています。その上で、画面からはみ出さないように横方向への動きは抑えるようにしています。また、顔は右側の方を気に入っているため、右側が多く写るように意識しているかもしれません。

　日頃は、映像を見た人からどのように見えるかを強く意識して、鏡を見ながらダンスの練習をしています。

《プロカメラマンが教える「映える」撮り方》

　カシオレさんにモデルになってもらい、編集担当者がいつも通り撮影したものと、プロのカメラマンのアドバイスに従って撮影した写真を比較してみた。いずれも構図を意識しやすいようにスマホ画面にはグリッド線（補助線）を表示させた。

【Before】まずはいつも通り撮影

・顔が暗い
・脚が実際より短く、頭が大きく見える

プロがアドバイス

　スマホのカメラに使われている「広角レンズ」の特性を
理解することが、理想の写真への近道！

広角レンズの特長と対処法

近くのものは大きく、遠いものは小さく写る
→撮影の際、スマホをおへその高さに構えることで、「顔は遠く」「脚が近く」なり、小顔脚長効果が得られる

広角レンズは外側ほど大きくゆがむ
→顔は画面中央「小顔ゾーン」に、脚は中央下部「脚長ゾーン」に配置する
→「グリッド」を表示すれば「小顔ゾーン」「脚長ゾーン」が一目瞭然

【After】アドバイスに従い撮影

・「消失点」の先にカシオレさんが写る理想の構図
・写真中心に顔、中央下部に脚を配置したことで「小顔脚長」が実現
・ペデストリアンデッキの照明・電光掲示板の明かりで顔を明るくして美肌に

※番外編※　お顔を美しく！　自撮りテクニック

１．目より上の高さに構える
カメラに「近い」目が大きく写る一方、「遠い」あごと体部分は小さく、鼻の穴も写らない

２．顔を明るい方に向ける
顔全体に明かりが当たると加工なしでも美肌効果抜群

３．顔は画面の真ん中に
画面の外側だとゆがみが強いので頭が大きく見え、あごが長く見えてしまう