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おいしくてヘルシー【特集】仙台名物でGood Morning

文/西大立目 祥子 写真/田附 絢也

 この春、進学や就職で初めての仙台での1人暮らしという人も少なくないはず。忙しさからつい朝食を抜いてしまうこともあるのでは。「そんな人にお勧めしたいのが仙台名物を活用した朝ごはん」と話すのは、発酵食品に詳しい宮城大食産業学部の金内誠教授。研究室を訪ね、金内教授と発酵食品ソムリエの資格を持つ料理愛好家の林真理子さんに、手軽でヘルシーなレシピを聞いた。

左から青砥茉優(あおと・まひろ)さん(宮城大大学院2年)、庄司遥香(はるか)さん(同)、金内教授、植田美羽(みう)さん(同)、林さん

かつおぶしパックで栄養プラス「油麩とわかめの味噌汁」

【材料(1人分)】
・油麩…1㎝厚2枚
・乾燥ワカメ…1つまみ
・かつおぶし…1パック(約1.5g)
・仙台味噌…大さじ半分
・小ネギ…1つまみ

【作り方】
1.油麩は半分に切り、かつおぶしパックを袋ごともんで細かくする。小ネギは小口切りにする
2.鍋に水(160〜200cc)と油麩、乾燥ワカメ、かつおぶしを入れて中火にかける
3.煮立ったら仙台味噌を加え、弱火でひと煮立ちする
4.器に移し小ネギを散らしたら完成

【林さんのアドバイス】
かつおぶしパックを使うことで、だしを取る手間が省けます。カツオのたんぱく質も一緒に摂取できるので一石二鳥です

保存も応用も利く優れもの「仙台味噌だれ」

【材料】
・みりん…150ml
・日本酒…150ml 
・仙台味噌…200g
・だし…顆粒(かりゅう)だし少々または かつおぶし1パック

【作り方】
1.鍋にみりんと酒を入れて中火で沸騰させ、アルコール分を飛ばす
2.だしを加え軽く沸騰させる。かつおぶしパックの場合は袋ごともんで細かくしておく
3.2に仙台味噌を加え混ぜ合わせる
4.冷まして完成

【金内教授のアドバイス】
味噌焼きおにぎりにぴったりで、焼き肉のたれとしても使えます。すりおろしショウガやユズを加えてアレンジするのもお勧め。密閉容器で冷蔵庫に入れておけば1カ月くらい保存可能なので、ぜひ作り置きを

30回かき混ぜよう「仙台味噌だれ納豆」

【材料(1人分)】
・納豆…1パック
・かつおぶし…少々
・小ネギ…少々
・仙台味噌だれ…適量

【作り方】
1.納豆を30回かき混ぜ仙台味噌だれをかける
2.小ネギを小口切りにして、かつおぶしと一緒に散らし完成

【金内教授のアドバイス】
納豆は30回かき混ぜることで「うま味アミノ酸」が最も多くなります。かき混ぜる回数を0回、30回、100回で測定する実験をして、確かめました

ずんだの緑がアクセント「ずんだヨーグルト」

【材料(1人分)】
・ヨーグルト…150ml
・ずんだあん…適量
・蜂蜜…お好みで

【作り方】
ヨーグルトにずんだあんを入れ、蜂蜜をかける

【林さんのアドバイス】
ずんだはチューブ状のパッケージが便利。白いヨーグルトに緑の彩りがきれいです。ずんだは大豆なので、タンパク質も摂取できます

のりの香りが食欲を誘う「笹蒲鉾と焼きのりのチーズインオムレツ」

【材料(1人分)】
・卵…2個
・笹蒲鉾…1/2枚
・シュレッドチーズ…大さじ1
・焼きのり…1/2枚
・塩…1つまみ
・サラダ油…小さじ1
・野菜…付け合わせにお好みで

【作り方】※水にぬらし軽く絞った布をコンロの脇に置いておく
1.笹蒲鉾は縦半分に切り、食べやすいよう薄切りか細かく刻む。焼きのりはだいたい2㎝大にちぎっておく
2.卵2個をボウルに割り入れ、菜箸をボウルの底に付け、左右に動かしながら溶きほぐす
3.2に1とシュレッドチーズと塩を加え混ぜる
4.フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、③を入れて菜箸でかき混ぜる
5.卵が半熟になったら1度フライパンを火から外し、用意したぬれ布の上へ
6.卵の縁をフライパンの中央に寄せ、へらなどで手前から奥へ二つ折りにする
7.弱火にかけ、フライパンの端に押し付けるように焼く。フライパンの端を使うと失敗が少ない
8.へらなどで手前に裏返し、再び端に寄せて形を整える
9.皿に移して仙台味噌だれをかける。野菜などを盛り付けて完成

菜箸でかき混ぜにくくなってきたら半熟になったサイン
フライパンを火から下ろし、へらなどで卵を中央に寄せる
フライパンの端に寄せて形を整えながら焼くと崩れにくい

【林さんのアドバイス】
フライパンは卵2個なら15cm、3個なら18cm程度のサイズだとオムレツを作りやすいです。フライパンの適温は卵を少し菜箸でフライパンに付け「チリチリ」というくらい。「ジュッ」となるくらい熱いときは、最初に用意した布で冷ましながら調理しましょう

付け合わせの野菜にかけて「仙台味噌だれドレッシング」

【作り方】
仙台味噌だれ、酢、オリーブオイルを1:1:1で合わせ、よく混ぜれば仙台味噌だれドレッシングの完成。付け合わせの野菜用に

《発酵食品とタンパク質で好スタートを》

 朝食で取るべき栄養素は何が大切で、仙台名物がどう役に立つのか。金内教授と林さんにざっくばらんに語ってもらった。

金内 1日元気に体を動かすためには、朝にタンパク質をとることが大切なんです。でも忙しいと米飯やパンが多くなりがちで、炭水化物に偏ってしまう。そこで笹蒲鉾です。誰もが知っていてタンパク質を多く含み、そのままでも食べることができる。贈答用と考えがちだけど、せっかくの仙台名物を活用しない手はないでしょう。

林 毎日の食卓に取り入れるイメージはないかもしれませんが、スーパーに行くと手頃な値段の商品もそろっています。今回はオムレツにして卵2個も一緒に食べますから、しっかりタンパク質を摂取できますね。

金内 笹蒲鉾に衣をつけてフライにすると絶品のおかずになるんですよ。パンに挟んでもおいしいし、お酒にも合う。そして、タンパク質と一緒に取り入れてほしいのが発酵食品です。発酵食品に含まれる微生物がタンパク質の分解を促して、消化吸収を助ける。仙台味噌だれは発酵食品の固まりなので、ぜひ活用してほしい。

林 仙台味噌だれはあれこれ使えて、本当にアレンジの利く調味料ですね。私はこれをヨーグルトと合わせて肉を漬け込んでいます。発酵の力で肉がフワフワに柔らかくなりますよ。

金内 仙台味噌は一般的な味噌と比較して麹(こうじ)が少なめで、高タンパク食品である大豆が多め。誕生は伊達政宗の時代までさかのぼるという説もあり、まさに仙台を代表する発酵食品ではないかと。

林 ヨーグルトにのせた「ずんだ」も大豆が主成分でしたね。
金内 もちろん納豆も。今回のメニューを毎日全部作るのは大変でしょうから、どれか1つ朝の食卓に取り入れるようにしてほしいな。

かなうち・まこと 宮城大食産業学部教授。同大研究推進・地域共創センター副センター長。専門は発酵・醸造学。専門的知識や技術を生かし、チーズ、ワイン、ビールなど、発酵食品の分析や商品開発などを行っている。地域や企業と連携することも

はやし・まりこ 発酵食品ソムリエ・料理愛好家。祖母が手作りする味噌や漬物、甘酒などを食べて育ち発酵について興味を持つ。無農薬野菜販売店のco-taroをサポートする傍ら、季節の野菜と発酵調味料を使った家庭料理を作り、身体に優しい食事や発酵食品のある暮らしについて情報を発信。秋田市生まれ

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