ナマステ नमस्ते【特集】ネパールを知ろう
仙台市で暮らすネパール出身者が急増している。昨年4月末時点で2074人と中国出身者に次ぐ2番目の多さに。イメージするのはヒマラヤ山脈にエベレスト…。ネパールってどんな国だろう。食や文化は? 仙台に住むネパール出身者に聞いた。
《ネパールを味わう》
スパイス利いた家庭の味 ~カトマンドゥ~
15席の隠れ家のような店内で、ネパールから取り寄せた20種類以上のスパイスとヒマラヤの岩塩を使った家庭料理を提供する。余計な油は使わず、「ヘルシーでおいしい」がモットー。定番のさらさらとしたカレーは、体がじんわりと温まり、滋味深い。
夜はオーナーのアリアル・サンジブさん(68)の軽妙なトークと人柄を慕う常連客らでにぎわう。「お通しは付けない。食べたい物を食べて、楽しく過ごしてほしい」とアリアルさん。ネパール南部のサトウキビとヒマラヤの水で作られたラム酒「ククリラム」も提供する。店で出すチキンと野菜の2種類のカレーが作れるレシピ付きスパイスセット(1000円)も販売。家庭で本場の味に挑戦してみては。
貧しくて教育を受けられない子どもたちを支援するNPO法人日本・ネパール文化交流倶楽部の代表も務めています。「Give&Give(ギブ アンド ギブ)」の精神で見返りは求めません。支援者は仙台だけでなく、全国に広がりました。
【DATA】
仙台市宮城野区榴岡1-7-8 ADビル1階
TEL022-256-7851
営/昼11:30~LO17:00、夜17:30~LO21:00
休/日曜
本場の味を親しみやすく ~KUMARI(クマリ) 仙台駅前店~
ネパールの住宅をイメージしたというオレンジを基調とした店内で、インドとネパールの料理を楽しめる。蒸し餃子「モモ」と焼きそば「チャウミン」は、広く愛されるネパール料理。モモは、鶏肉と玉ネギ、ニンニク、コリアンダーが入ったあんをカレー風味に仕上げ、肉汁たっぷりでジューシー。チャウミンは、さっぱりとした味わいだが、スパイスに漬け込んだ鶏肉に存在感がある。
「本場の味を伝えたい」とオーナーのシュレスタ・ハリ・ゴパルさん(39)が始めた店は、県外も合わせ7店舗に増えた。比較的、日本人になじみのあるインドカレーともっちりとした自家製ナンが不動の人気。親しみやすい雰囲気から若者や家族連れの他、留学生も多く訪れる。
ネパール人は助け合いの心を強く持っていて、困っている人がいたら必ず手助けします。コロナ禍で献血の協力者が減ったと聞き、仙台で暮らす仲間に呼びかけて、定期的に献血活動を行っています。
【DATA】
仙台市宮城野区小田原1-1-5 ホテルパレス仙台1階
TEL022-257-9606
営/昼11:00~LO14:50
夜17:00~LO21:30
休/火曜(祝日の場合は営業)
《ネパールって、こんな国》
基礎情報
面積 14.7万平方km
人口 3054万7580人
首都 カトマンズ
公用語 ネパール語
政体 連邦民主共和制
宗教 ヒンズー教(81.3%)、仏教(9.0%)、イスラム教(4.4%)、他
通貨 ネパール・ルピー
5年で倍に
仙台市で暮らすネパール人はここ5年で倍に増えた。ほとんどが日本語学校や専門学校に通う留学生。勉学の傍ら生活費などを稼ぐため、工場やコンビニエンスストア、旅館などでアルバイトし、日本の人手不足にも貢献している。
県内に暮らすネパール人の相談に応じたり、通訳として病院に付き添ったりしています。留学生に日本の習慣やマナーを教えることもあります。住んでいたチトワンの国立公園にはサイやトラがいて、象に乗ることもできます。
華やか 民族ごとに違う伝統衣装
宮城県国際化協会相談員ドゥワディ・バワニさんから、娘アバさんが文化を知るために集めている女性の伝統衣装を見せてもらった。多民族国家なので民族ごとに異なる。色鮮やかで装飾品も華やか。大きな祭りや結婚式、お食い初めなどの特別な日に着るという。
話してみよう
公用語はネパール語だが、民族ごとに100を超える言語が存在する。英語教育に力を入れていることもあり、英語が話せる若者もいる。
▶नमस्ते[ナマステ]
「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「さようなら」いつでも使えるあいさつ。合掌をしながらあいさつすると丁寧
▶ダンニャバード ありがとうございます
▶ミトチャ おいしいです
▶サンツァイ フヌフンツァ お元気ですか?(丁寧な表現)
ぬくもりある手作り雑貨 ~ゆめの森のフェアトレード~
仙台市の障害者施策の1つとして、社会福祉法人「仙台市手をつなぐ育成会」が運営する「ゆめの森」には、福祉施設で作られた商品と共にネパールのフェルト雑貨や紅茶が並ぶ。ネパールを中心にフェアトレードに取り組む「ネパリ・バザーロ」(横浜市)の協力を得て、2003年から取り扱いを始めた。生産者の労働環境や生活を考えて、貧困の改善を支援する活動に共感。障害者の自立を支える福祉活動とのつながりを感じたという。
愛らしい表情をした動物のフェルトのブローチを手に取ると、自然と顔がほころぶ。現地の女性たちが手作りした一点物だ。紅茶は農薬と化学肥料を使わずに栽培する。日本人向けにスパイスを調合したカレーも人気。姉妹店「はぁと」(仙台市宮城野区)でもフェアトレード商品を扱う。
【DATA】
仙台市青葉区中央1-1-1
エスパル仙台本館3階
TEL022-267-4607
営/11:30~18:00
休/エスパル仙台に準じる
(河北ウイークリーせんだい2024年6月6日号掲載)