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<大観音の傾き(10)>絶頂には終わりがあった 山野辺太郎

「それで、大観音の話だって?」と天野が尋ねる。
「そうなんです。何かご存じのことがあれば……」
「さっき台所に立ってあれこれ思い出してたんだ。あの大観音を発案したのは、俺の勤めてた会社の社長でね……」と天野が語りはじめた。

 修司は相槌(あいづち)を打ちつつ、話に耳を傾けた。

 天野によれば、社長は若いころ…