「それで、大観音の話だって?」と天野が尋ねる。「そうなんです。何かご存じのことがあれば……」「さっき台所に立ってあれこれ思い出してたんだ。あの大観音を発案したのは、俺の勤めてた会社の社長でね……」と天野が語りはじめた。
修司は相槌(あいづち)を打ちつつ、話に耳を傾けた。
天野によれば、社長は若いころ…