快適においしく【特集】涼しく料理を

《「熱」と手間、減らしてクールに》

　酷暑を乗り切るには日々の食事が大事！…とは分かっていても、特に暑い台所での調理は考えるだけでも気が滅入る。暑さを避けて簡単に料理するこつを、フードコーディネーターとして仙台圏で長年活躍している伊藤豊子さんに聞いた。伊藤さんお薦めの、おいしくて元気がでる「涼理」レシピもどうぞ。

　家庭で取り組めそうな涼しい料理法について、伊藤豊子さんは「調理の『熱』を減らすことと、そして調理はもちろん後片付けも含めて手間を減らすことです」と教えてくれた。

　第1のポイントとして挙げるのは「そもそも火を使わない」。電子レンジをはじめ、電気炊飯器、オーブントースターなどの調理機器を積極的に使うのだとか。下に紹介している炊飯器を使うレシピなら、下ごしらえをすればスイッチオンでほぼ完成。

　そして、次のポイントは盛り付けと後片付けの手間を省くため「1皿にまとめる」。同じく下のパックごはんのレシピは、ワンプレートを突き詰め、食器も不要。電子レンジで調理し、具をのせて食べて、あとはごみ箱へ。

　パックご飯は常温保存可で賞味期限が比較的長く、忙しくて時間がない時や、お米を切らした時の便利な「省力」フード。「ブランド米を使った製品も多く、食べ比べても楽しいです」と伊藤さん。

　さて、省力を勧めつつ、伊藤さんが同時に強調するのは「食卓の涼しい彩りも忘れないで」。例えば、涼やかな青い色目の陶磁器やガラス器を使うなど「ぐったりするような夏にこそ、食事のうきうきした気持ちを感じられる食卓の雰囲気は、大事です」ときっぱり。「楽に、楽しく、おいしく、夏のお料理をこなしていきたいですよね」と締めくくってくれた。

　COM消費生活創研（太白区）食部門チーフ・主任料理講師。日本フードコーディネーター協会会員。宮城県内外のメーカーや生産者団体の商品開発・メニュー提案を手掛けてきた。料理や食育の一般向け講座も多数開催している。
℡022-228-3066（COM消費生活創研）

■シンガポールライス「海南鶏飯」

　エスニックな雰囲気たっぷりのシンガポールライス。材料を炊飯器に入れて炊くだけでOK。軟らかい鶏肉と鶏のスープを吸ったご飯は絶品です。いくつか野菜を添えれば栄養バランスも満点に。

❶米はといでざるにあげておく。鶏もも肉は下味をつけてよくもみ込む
❷炊飯器に米を入れ2合より2～3mm少なめの水加減にする。塩を加えて混ぜ、鶏肉の皮を下にしてのせ、炊飯する
❸炊き上がったら鶏肉を取り出し、食べやすい大きさに切る。ご飯を盛り、鶏肉をのせ、食べやすく切ったレタス、トマト、キュウリ、レモンを添える。たれの材料を混ぜ、かけていただく

■パックごはんでタコライス

　楽をしたい時に頼りになるのがパックごはん。沖縄発で、子どもにも大人にも人気のタコライスが手軽に作れます。温かいごはんにシャキシャキのレタスやトマトものせて、味も見た目も楽しい一品。タコス味のスナック菓子をトッピングし、サクサク食感もプラスしました。

❶レタスとキュウリはせん切り、トマトは１cm角に切る
❷耐熱容器にひき肉、玉ねぎと(A)を加えて混ぜ、600Wの電子レンジで1分加熱する。1回混ぜてから、再度30秒加熱
❸パックごはんは、製品説明の時間に従って、電子レンジで加熱する（今回は600Wで2分30秒）。ごはんが温まったらチーズ、レタス、キュウリ、トマト、②の肉みそをのせる。お好みでスナック菓子を砕いてトッピング

《お薦め 涼しげテーブルウエア》

　気温の上昇が早まり、うだるような暑さが長引く近年。青葉区の百貨店・藤崎で、夏の食卓を涼しくしてくれるテーブルウエアを探した。マーチャンダイザー・高田彩子さん（上写真）によると、大町館の２階売り場を中心に4月から夏向きのテーブルウエアが充実。「ガラス製品、青や淡い色の商品をそろえています。5月に入り購入される方が一気に増えた印象です」と話す。夏支度は既に始まっているようだ。

【ARABIA（アラビア）】24h アベック プレート26cmブルー（4950円）

　フィンランドを代表するブランドの磁器製大皿で、ブルー系の色合いが涼しげ。電子レンジ対応で、ワンプレート料理にもお薦め。

【chilewichI（チルウィッチ）】ランチョンマット（各3960円）

　シンプルながら高級感のあるデザインで支持を集める米国のブランド。青や淡い色のマットはガラス製品と相性がいい。樹脂製で手入れも簡単。

【東洋佐々木ガラス】めん猪口 青（1540円）、めん皿 青（3630円）

　1つあると重宝するのが、少し深くて大きめのガラス皿。麺類はもちろん、ガパオライスといったエスニック料理を盛り付けても。

【Sghr スガハラガラス】丸 はし置き（1個660円、桐箱代込みセット4180円）

　手頃な価格で食卓に涼を運べるアイテム。スプーンやフォークも置ける長めのカトラリーレストも好評だ。

《プロの涼策》

　どんなに暑い日も熱い調理を避けられないのが飲食店。調理のプロに暑さ対策を聞いた。

■ゼリー多彩に、「首冷」強めに　～洋菓子店～

　JAMINのシェフパティシエ大村公広さんが「夏は商品の約2割がゼリー類になります」と解説するように、ショーケースの品ぞろえ自体が涼しげに来店者を出迎えてくれる。

　とはいえ、菓子製造の現場に火やオーブンは必須で「首を冷やすだけでもだいぶ楽になる」とか。昨年は冷感タオルを巻いていたが、今年は首に掛けるタイプの扇風機を導入。麦茶やスポーツ飲料を常備し、水分補給して乗り切っているという。

■サウナな厨房、マストは「首扇風機」　～とんかつ屋～

　「冷房をつけていても、フライヤー前はサウナのよう。首掛けの扇風機が手放せません」と話すのは、とんかつ大町西多賀店の関尚人さん。

　ランチタイムなどには調理・接客に、従業員数人が忙しく動き回る。ミネラル入りの天然塩とオーガニックレモン、てんさい糖を加えた自家製経口保水液を大瓶に作って各自が水分補給したり、自家製漬物で塩分補給したり、通気性をよくするため、汗でぬれた服を小まめに着替えたりといった対策を工夫しているという。

(河北ウイークリーせんだい2024年6月20日号掲載)