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わずか7カ月で…秋田駅「えきちかマルシェ」事実上閉業 人手不足直撃、物価高も影響

地下フロアの営業休止を知らせる張り紙=6月28日、秋田市の駅ビル「アルス」

 秋田市のJR秋田駅に隣接する駅ビル「アルス」地下1階の専門店街「えきちかマルシェ」が、6月30日で営業を休止した。「全国の上質なものを少しずつ」をテーマに食品を扱う店を集めて昨年11月にオープンしたが、フロアが埋まらないままわずか7カ月での事実上の閉業。駅近くという一等地にあるが、人手不足を背景に出店が進まず、さらに値上げなどの影響で客足が遠のいた。(秋田総局・織田雅子)

一等地の駅ビルなのに…出店進まず

 えきちかマルシェは昨年11月29日、野菜や果物、精肉や、全国の特産品を扱う店など7店舗が入る専門店街として営業を始めた。秋田駅周辺にマンションの建設が相次いでいたことなどから、郊外に出かけにくい高齢単身世帯などの集客を見込んでいた。

 ただ、フロアは開業当初から約半数に当たる3、4店舗分のスペースが空いたまま。鮮魚店や牛乳、豆腐など日配食品を扱う店舗に広く出店を呼びかけたものの、実現しなかった。

 駅ビルを運営する「秋田ステーションビル」(秋田市)の担当者は「フロアの広さが約500坪にとどまることや駐車台数の少なさが懸念された。人手不足で開業できない店舗もあった」と説明。さらに「値上げした商品が多く、物流コスト上昇も重なって価格に反映され、消費者が商品を手に取りづらくなった」と分析する。

 マルシェに入る店の経営者は「開店当初はにぎわったが、1月以降は客数が落ち込んだ。低単価で数をこなす必要があったが、フロアが埋まらず人が集まらなかった」と嘆く。秋田市の80代女性は「手頃な商品がなく、品数も少なかった。オープン直後に一度行ったきり」と打ち明けた。

 一部店舗は地上階や隣接の駅ビルに移転して営業を続けるが、フロアは7月以降の活用方針が決まっていないため、当面閉鎖する。月に2、3回来店していた榎本千津子さん(69)は「大規模スーパーにはない珍しい商品があり、たまに買うのが楽しかった。閉まるのはさみしい」と惜しんだ。

 ステーションビルの担当者は「異例の早さで休業に至り、お客さまにも出店していた店舗にも申し訳ない。今後については、まずは人が集まる仕組みを考えたい。なるべく早く方針を決めたい」と話した。

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