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反撃弾に同点弾 中原の投入ズバリ的中 ベガルタ逆転で福岡下す

仙台ー福岡 後半31分、仙台・中原が財前からのセンタリングを頭で合わせ、この日2点目となるゴールを決め、2ー2とする=博多の森球技場

 交代からわずか3分後、中原の左足がさく裂した。財前のクロスをたたきつけると、ボールはゴールネットに突き刺さった。アウエーのスタンドが静まりかえる中、故郷・山口から駆け付けた両親や親友のいるゴール裏に向かって、大きくこぶしを突き上げた。

 続く後半31分にはヘッドで同点弾。「(復帰までは)いろいろな思いがあった。本当にあきらめないでよかった」。一度は“地獄”を味わった19歳が、やっと見せた笑顔だった。

 入団したばかりの昨季はけがに泣いた。U―20(20歳以下)日本代表にも選ばれながら、10月に右足を疲労骨折。2月の宮崎キャンプでも、軽いランニングがやっとの状態だった。

 「それでも耐えられたのは、周りのみんなが支えてくれたから」。我慢を重ね、やっと巡ってきた歓喜だった。

 後半13分にピッチに立つと、試合の流れを引き寄せた。得意のポストプレーで前線にためができた。「間違いなく今後の大きな戦力になる」とベルデニック監督。マルコスの離脱が続く中、この勝利は大きい。

 次は5月2日、ホームでの湘南戦。「次も点を取って、応援してきてくれた人たちに恩返ししたい」。頼もしい男が戻ってきた。(安住健郎)

決勝点は終了間際のシルビーニョ

 仙台が後半一気に2点差をはね返し、福岡に逆転勝ち。決勝点は後半ロスタイム。素早いリスタートのFKを受けた小原がクロスを上げ、シルビーニョが頭で決めた。

 劣勢の展開を変えたのは後半の中原の投入。前線でためをつくり、攻撃の流れをつかんだ。中原はいずれも財前のクロスを、16分には左足で押し込み1点目、31分にも頭で同点ゴールを挙げた。

 前半は仙台が中盤でボールを奪い、好機を演出したが、決め手を欠くうちに、福岡に流れが傾いた。40分に篠田のヘッドで先制点を奪われると、中原投入直後の後半13分にも福嶋に決められ、0―2とされた。

 福岡は、後半20分のPK失敗など再三の逸機が痛かった。

シルビーニョ「今後につながる勝利」

 後半ロスタイムにヘディングで勝ち越し弾を放ったシルビーニョは「苦しい試合が続いていただけに最高にうれしい」と笑顔で語った。

 後半、ベルデニック監督からは「スペースがあったらいつでも飛び出すように」と指示を受けていたという。直接FKを受けた小原の素早いクロスにぴったり合わせたファインシュートで、「狙い通りに決まった」と振り返った。

 「きょうは最後までチームが試合をあきらめなかった。今後につながる勝利だ」と語り、5月攻勢に向けて意欲を新たにしていた。

 J2第8節(29日・博多の森球技場ほか=6試合)仙台は福岡に3―2で逆転勝ちした。0―2の後半、途中出場の中原貴之の2得点で追いつき、終了間際にシルビーニョが頭で勝ち越しゴールを決めた。仙台は連敗を3で止め、通算成績を2勝6敗、勝ち点6としたが、順位は最下位のまま。

 山形は後半44分、根本亮助が決勝ゴールを決めて甲府を1―0で下し、4連勝。通算成績を4勝3分け1敗、勝ち点を15に伸ばし、前節の4位から2位に浮上した。

 川崎は2―0で横浜Cに快勝、勝ち点を18と伸ばし首位を守った。横浜Cは初黒星。湘南は1―0で大宮に勝ち、今季初勝利。鳥栖は1―0で水戸を破り、京都は札幌を2―0で下した

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