総裁選の「街頭演説会」仙台開催なし? 首相銃撃で警備にハードル 自民県連はやきもき
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)の街頭演説会を巡り、東北最大都市の仙台での開催が見送られる公算が大きくなっている。演説中に政治家が襲撃される事件が相次いで起き、警備のハードルが格段に上がり、適した会場が見つからないという。次期衆院選を前に党勢拡大を図りたい関係者の胸中は…。
逆風下「政策発信の機会だが…」
「次の首相の政策を県民に伝えられる機会。今まで通りに訴えができれば理想だが」。佐々木幸士県連幹事長の表情はさえない。2022年7月の安倍晋三元首相銃撃、23年4月の岸田文雄首相襲撃に加え、海外でも今年7月にトランプ前米大統領暗殺未遂もあり、警察は警備態勢の強化に努める。
党県連によると、重要閣僚らが立候補するため、県警からは街頭で聴衆と20メートル距離を取るよう求められたという。県警警衛警護室の佐藤弘道室長は「緊張感は格段に上がった。万全の態勢で臨む」と気を引き締める。
市中心部で距離の条件を満たすには、主要道路の交通規制が必要になる。県連関係者は「党員以外も大勢が行き交う場でこそ演説の効果も大きいが、自民党のために道路を封鎖しては印象が悪い。実施は厳しそうだ」とこぼす。
党本部は今回、東北は警備がしやすい仙台以外での街頭演説会を検討しているとみられる。県連には「政治とカネの問題で続く党への逆風を街頭演説会で緩和できる」との期待もあった。「仙台スルー」となれば当てが外れる。
過去の総裁選では仙台市で討論会や演説会を開催。21年9月の前回はコロナ禍で見送られたが、18年9月の前々回は立候補した安倍氏と石破茂元幹事長が、青葉区の藤崎ファーストタワー館前で熱弁を振るった。
石川光次郎県連会長代理は「暴力により街頭での訴えが脅かされる状況は残念。それでも多様な論戦で『頼れるのはやはり自民だ』と示す総裁選になればいい」と願っている。
一方、立憲民主党は15日、JR仙台駅東口で党代表選の演説会を実施する。泉健太代表が警護対象者のため、金属探知機の設置やスタッフの配置で、県警からさまざまな指示があり、会場は当初予定の西口から変更した。
沼沢真也県連幹事長によると、県警から市役所前の市民広場などを借りてやってほしいと要請されたという。「それでは(通りがかりの人にも聞いてもらえる)街頭演説にならないので断った。警護対象者が多い自民はもっと大変なのだろうが…」と漏らした。
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