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早起きは楽しい【特集】朝市巡り

①名取市・ゆりあげ港朝市の競り体験 ②多彩な雑貨を販売する店舗(気仙沼おためしないわん朝市) ③新鮮な魚介の炉端焼き(ゆりあげ港朝市) ④背負い籠姿の来場者(青森県八戸市・館鼻岸壁朝市) ⑤笑顔で「いらっしゃいませー」(ゆりあげ港朝市) ⑥夜明け前から行列ができる人気店(館鼻岸壁朝市) ⑦盛岡市・神子田(みこだ)朝市のあさどりくん

 東北には特徴的で面白い朝市が多い。夜が明ける前から人々が集い、活気に包まれる会場には地場の野菜や魚介、郷土料理の店が並び、地域の風土を体感できる。時には早起きをして、朝市を満喫しに出かけてみよう。

■炉端焼きや船旅も満喫 ~ゆりあげ港朝市(名取市)~

新鮮な魚介などを求め多くの人が来場する

 東日本大震災による被害を乗り越え、「ゆりあげ港朝市」が現在の会場に移転し丸11年。今では宮城県内はもとより、県外からも多くの人が訪れる人気観光スポットに成長している。

 出店数は約50軒。ラーメンや餃子、秋田の鍋料理、沖縄料理といった飲食店が多いのが特徴で、朝市協同組合の櫻井広行代表理事は「朝市は13:00まで開催しているので、ランチスポットとしてもお薦め」と話す。

 購入した魚介などを炭火で焼いて食べられる炉端焼き体験に昨年、有料の予約専用スペースが登場。1区画6人程度まで利用でき、煩わしい炭の準備や片付けは不要なのがうれしい。料金は90分で2000円。予約はWEBサイトもしくは電話で。

 小型船で約30分の船旅を楽しめる「ゆりあげ周遊船」の今季の営業は10月末まで。早めの利用がお勧めだ。料金など詳細はWEBサイトで確認を。

味噌屋さんの「味噌焼きおにぎり」は朝ごはんにお薦め
アサリラーメン(手前)とネギラーメン

ゆりあげ港朝市名物 競りに挑戦

競り人を務める櫻井代表理事

 ゆりあげ港朝市名物といえば「競り体験」。日曜10:00から開催され、さまざまな商品が出品される。参加者は欲しい商品が出てきたら番号が張られたうちわを上げ、競り人に番号を呼ばれたら商品をゲット。通常の半額、時には3分の1で購入できるとあって、参加者は皆真剣だ。

 競り体験にほぼ毎回参加するという常連のお母さんに必勝法(?)を聞き出し、記者が自腹で競りに参加。予算1000円でどれだけお得に商品をゲットできるのか挑戦してみた。

 見事競り落としたのは、ホタテ6枚(通常900円)、枝豆2袋(通常500円)、焼きそば(通常500円)、イカ塩だれ漬け(通常198円)、ココア飲料3本(通常504円)。1600円以上お得に購入できた。皆さんもぜひ挑戦を。

選ばれやすい数字のうちわを探す競り参加者
記者が競り落とした商品

【DATA】
開催日/日曜、祝日
時 間/6:00~13:00
会 場/名取市閖上東3-5-1
問/ゆりあげ港朝市協同組合
TEL022-395-7211

ゆりあげ港朝市

■日本最大級 多彩な店舗 ~館鼻岸壁朝市(青森県八戸市)~

岸壁にずらりと並ぶ店舗。これでも会場の一部だ(写真提供:VISITはちのへ)

 普段はイカ釣り船が停泊しているだだっ広い岸壁で開催されるのが「館鼻岸壁朝市」だ。全長800mにもなる会場に300軒超が出店。来場者は毎回2万~3万人と、日本最大級の規模を誇る。

 新鮮な魚介や野菜を売る店のほか、シイタケやキクラゲの専門店、リアルな幼虫形グミが人気のコーヒー店、自作のブーメランやミシンを販売する店など特徴的な店がずらり。

 焼き鳥や天ぷらといった総菜店も豊富。鶏手羽先の唐揚げが大人気の店には、限定品を求め0:00ごろから行列ができるとか。

 朝市公認のアイドルでPR大使を務める「pacchi」のミニライブも毎回大盛況。愛らしい姿・歌声に早朝から多くのファンが集う。あなたも熱い声援を送ってみては。

年々来場者が増えている(写真提供:VISITはちのへ)

全国朝市サミット2024 in八戸

 10月19日(土)・20日(日)、八戸市を会場に「全国朝市サミット」が開催される。石川県の輪島朝市や千葉県の勝浦朝市など、全国から15の朝市主催団体が集まり、情報発信や課題などについて話し合う。

 20日には館鼻岸壁朝市に各団体が集結。地元の名物などを販売する物産展を開催する。また、八戸中心街のメインストリートを歩行者天国にするイベント「はちのへホコテン」などの催しも行われる。詳細は館鼻岸壁朝市のWEBサイトで。

【DATA】
開催日/3月中旬~12月の毎週日曜 ※臨時開催あり
時 間/日の出~9:00ごろ
会 場/館鼻岸壁
(八戸市新湊)
問/湊日曜朝市会
TEL070-2004-6524
(大安食堂内)

館鼻岸壁朝市

■愛されて年間300日超 ~神子田朝市(盛岡市)~

会場には休憩・飲食スペースもある

 盛岡市民の台所「神子田(みこだ)朝市」は、年間300日以上も開催している全国的にも珍しい朝市。盛岡八幡宮の南、国道4号から少し入った会場に常設の建物があり、土・日曜にもなると約100軒が出店する。

 生鮮品以外にも、総菜、ラーメン、コーヒー専門店、衣料品、履物の店などラインナップは多彩。美容室や整体院といった朝市には珍しい店もある。宮城県から出店している人もいるそう。

 すいとんに似た岩手の郷土料理「ひっつみ汁」を提供する店「木偶の坊」には毎朝行列ができる。小麦粉を薄く伸ばした生地を手でちぎって作るひっつみは、もちもち、つるん。醬油ベースのあっさりとした優しい味わいの汁に、ゴボウやシイタケ、油揚げが入り、盛岡旅行の朝ごはんにぴったりだ。

神子田朝市を訪ねたら必ず食べたい「ひっつみ汁」

【DATA】
開催日/通年(祝日を除く月曜休み)
時 間/5:00~8:00ごろ(延長あり) 1~3月は5:30~8:30ごろ
会 場/盛岡市神子田町20-3
問/TEL019-652-1721

神子田朝市

■長い歴史と新しい息吹 ~五城目朝市(秋田県五城目町)~

通称「朝市通り」に店舗が並ぶ

 1495年に始まったとされ、約530年の歴史を誇る秋田県五城目町の「五城目朝市」。暮らしに密着した朝市で、地元産の野菜や山菜、八郎潟産の魚など、近郊からさまざまな物が集まる。

 毎月、下1桁が2、5、7、0の日に開催され、「きのこまつり」「山菜まつり」など、季節ごとのイベントも多彩。

 2016年から「ごじょうめ朝市plus+(朝ぷら)」を実施。誰でも出店しやすくなる取り組みで、朝市の伝統を守りながら若手の出店を促そうとスタートした。4月から12月の土・日曜の朝市開催日のうち月2回を目安に開催されている。

 通常開催時の来場者は300人程度。朝ぷら開催時は占いやアクセサリー、スイーツなど出店数も増え、普段と違った雰囲気を楽しみに約2000人が訪れるという。

地元産の野菜など生活に密着した商品を売る店が多い

【DATA】
開催日/日付の下1桁が2、5、7、0の日
時 間/7:00~12:00
会 場/五城目町下夕町通り(朝市通り)
問/五城目町役場商工振興課
TEL018-852-5222

ごじょうめ朝市plus+の情報はコチラ
五城目朝市

■絶景の朝市は成長中 ~気仙沼おためしないわん朝市(気仙沼市)~

目の前に海が広がる最高のロケーション

 気仙沼湾の奥に位置する内湾地区で、毎月第1日曜に開催されているのが「気仙沼おためしないわん朝市」。同地区のにぎわい創出策の1つとして、2022年5月にスタートした非常に新しい朝市で、飲食店や雑貨店など約20軒が出店する。

 事務局の佐藤佳奈さんは「運営側と出店者が共に朝市を育てている途中。試行錯誤を繰り返しています」と話す。

 来場者から野菜を買いたいという声が出ればすぐに対応。農作業などで出店できない生産者の代わりに事務局が地場の野菜を販売するようになった。また、高校生と連携したコンサートやコスプレイベントなど、若い世代との交流にも取り組んでいる。

 気仙沼湾を一望できるロケーションも大きな魅力。朝市スタート時から手作り雑貨の店を出店している菅原理香さんは「目の前に広がる最高の景色を、観光客にも楽しんでほしい」と話す。また、佐藤さんによると「朝市は真冬にも開催され、運が良ければ神秘的な気嵐を眺めながら朝市を楽しめる」そうだ。

 三陸道を利用すれば仙台からのアクセスも良好。絶景の朝市を満喫しに出かけてみよう。

親子連れなどたくさんの人が訪れる
おしゃべりを楽しむ来場者
事務局が販売する地場の野菜
会場ではヨガなどのイベントも行われる

【DATA】
開催日/毎月第1日曜
時 間/7:00~13:00
会 場/南町海岸公園
問/気仙沼地域開発
(千葉)TEL0226-48-5091

気仙沼おためしないわん朝市

■北から輪島へ!朝市の絆スタンプラリー

 全国朝市サミット開催を契機に、北海道と東北の朝市、石川県の「輪島朝市」が連携しスタンプラリーを実施している。スマホに専用アプリをダウンロードし、参加朝市を訪問しスタンプを集めるだけ。スタンプ3個(館鼻岸壁朝市は必須)を集めると応募可能になり、訪問した朝市の数が多いほど当選率が上がる。詳細はWEBサイトで。

期間/12月30日㈪まで
商品/A賞「はちのへエリアと館鼻岸壁朝市の名物詰合せセット」
B賞「お庭えんぶりペア観覧席」
実施/VISITはちのへ

VISITはちのへ

(河北ウイークリーせんだい 2024年9月19日号掲載)

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