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アーティストMozuさんが仙台でミニチュア展「心がぎゅっとなる感じ」こびとの世界 実物で感じて

 白壁に設置された高さ約12センチの2口コンセント。見慣れた光景の隣に、同じくらいの大きさの部屋や駅の改札などが並び、目を疑う。細部までリアルに作り込まれ、まるでこびとの世界に入り込んだような錯覚に陥るミニチュアを手がけるのは、アーティストのMozuさん(26)。「細かい作業が大好き。嫌なことを忘れて没頭していると、いつの間にか完成している」とこともなげに話す。
(坂田奈緒子)

Mozuさんの「こびとの駅」

 小さな子ども部屋の中に、人さし指ほどの学習机があり、ランドセルや縄跳びひも、児童書などが散らばる。そんなMozuさんの代表作「こびとシリーズ」をはじめとした38点が、仙台市宮城野区の東北福祉大ギャラリーミニモリで開催中のミニチュア展で紹介されている。

 ミニチュアは、寸法も含めてできる限り本物に近づけるようにしている。作品の脇にコンセントや電気のスイッチを置くのは「誰の家にもあり、サイズが一目瞭然で分かるから」とMozuさん。「喉が渇いてペットボトルを手に取った時にも、この部分をミニチュアに使えないかと使い道を考える。職業病のようなもの」と気持ちは常に創作に向いている。

 幼い頃からミニカーや建築模型が好きで、高校生の時に自分の部屋を再現したのがミニチュア制作の始まり。交流サイト(SNS)で紹介されると、大きな反響を呼んだ。「自分では当たり前のように作った物を、こんなに楽しんでくれるのに驚いた」と振り返る。

「ミニチュアは裏まで作り込んでいる。会場で、自分の目で見てほしい」と話すMozuさん

 ミニチュアと並び、だまし絵も人気だ。ロケットや円グラフなどがノートから浮き上がる「トリックラクガキ」は、小学校の教科書の表紙にも採用され、児童に親しまれる。全国から子どもが描いた作品が届き、「楽しんでくれている」と反応を喜ぶ。

 精巧なミニチュアは全て手作り。1センチに満たない数百の部品を、ピンセットなどで1点ずつ配置して完成させた作品もある。「心がぎゅっとなる感じがミニチュアならではの魅力。写真や動画で見るだけではなく、ぜひ会場に来て感じてほしい」と訴える。

 ミニチュア展は27日まで。河北新報社、仙台放送主催。午前10時~午後5時(入場は午後4時半まで)。入場料は一般1300円、中高生1000円、小学生700円。未就学児無料。

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