点取り屋キッド 最終盤覚醒 仙台89ERS、復調3連勝
8点をリードして迎えた第4クオーター、仙台はフリーの3点シュートが決まらずとどめを刺せない。粘る越谷に追い上げを許し、残り4分を切って2点差のまま食らいつかれた。
ここで、12得点にとどまっていたキッドが覚醒する。残り2分の3点シュートを号砲に、スチールからの速攻で7点差。さらに5点差に迫られると、3点ラインの1メートル以上遠くから放った「ディープスリー」で再び突き放した。
この場面、「ジェミン(梁宰珉)との2対2が機能した」とキッド。梁宰珉をマークする220センチのソットを外角におびき寄せてリバウンド力をそぐ狙いだ。マークを受け渡したソットの自らへのマークが甘くなった隙を見逃さなかった。
終了間際にも同じ戦法で、ソットと入れ替わった橋本とのミスマッチを突き、決定的な73点目。点取り屋は2分間で10得点を挙げ、「前が空いたら打つことだけを考えた。勝たなければいけない試合だった」と表情を和らげた。
2試合続けての接戦での勝利は守備の成果にほかならない。リバウンド争いが甘く失点を重ねた序盤の反省は残るが、守備の強度は尻上がり。前日18得点のソットを6得点に抑えた梁宰珉は「20センチの身長差も、エネルギーの総量で跳ね返せると信じていた」と力強い。
「この3連勝から、自分たちの勝つ形というものをどう導くか」と落合監督。勝利の方程式がおぼろげながら見えてきたか。(浅井哲朗)
前半のリード守る
【評】仙台が前半のリードを守り切った。序盤から越谷の攻撃リバウンドに苦しんだが、3点シュートを軸に第2クオーター中盤に逆転に成功。第4クオーターに追い上げを許したものの、終盤のキッドの連続得点で振り切った。越谷は仙台のゴール下の守りに苦しんだ。
片岡が大事な場面で3点シュート
仙台の片岡が3点シュート2本を決めて6得点。いずれも大事な場面で成功させた。前日は出番がなく「勝負をかける気持ちで集中して入った」と振り返った。
前半終了間際、差を7点に広げる貴重な得点。チームが第4クオーター開始から3分間得点を奪えない中、2本目を思い切りよく決めた。「我慢の時間帯でチームを勇気付けたかった」。38歳は大観衆の喝采を浴びた。
5試合ぶりのフィールドゴール。「シュートは水ものだが、真剣に準備に向き合うことが大事な一本につながる。それが出てよかった」と話した。
[仙台・落合嘉郎監督の話]63失点に抑えた守備が勝因。この3連勝中で、全員が最も守備にハッスルできた。最後はターンオーバー(8個)とシュート決定率の差が出た。リバウンドを奪われた失点は課題。連勝を自信に、来週のホーム戦でも勝つ姿を見せたい。
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