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仙台圏新築マンション価格が高騰 平均は「6051万円」最高値を更新 建築費高騰など影響

仙台駅西口で建設が進む25階建てマンション。高価格物件の供給が相次いでいる=仙台市青葉区

 仙台圏で2024年上半期(1~6月)に供給された新築マンションの平均価格は6051万5000円だったことが、広告代理店DGコミュニケーションズ仙台オフィス(仙台市)の調査で分かった。前年同期から1422万3000円(30・7%)も急騰し、1988年の調査開始以降の最高値を大幅に更新した。DG社によると、建築費高騰による価格上昇に加え、仙台市中心部で高価格マンションの供給が相次いだことなどが要因とみられる。(経済部・横山浩之)

「億ション」も28戸

 供給戸数は262戸(39・0%)減の410戸。資材費や人件費の高騰で販売時期を遅らせたり、供給数を絞ったりした影響があった。うち青葉区は58戸(24・6%)増の294戸で全体の7割を占めた。太白区は前年同期の206戸から42戸に大きく減り、宮城野区と泉区はゼロだった。

 石巻市や多賀城市などを含む仙台圏のエリア別の供給状況は表の通り。平均価格は青葉区が6605万円に達し、前年同期から1809万円も急伸した。高価格物件が7戸から55戸に増え、1億円以上の「億ション」も28戸あった。

 平均坪単価は仙台圏全域で過去最高の278万円となった。青葉区は初めて300万円を超えた。高価格帯と言われる320万円以上の供給物件が、前年同期の5倍の102件に増えたことが要因。太白区の平均坪単価も15・6%伸びた。

 建設物価調査会(東京)によると、仙台市のマンション(鉄筋コンクリート造)の工事原価指数の推移はグラフの通り。15年1月を100とした指数は急上昇中で、24年10月の暫定値は126・1となった。

 今後に供給される物件は人件費や地価の高騰後に開発が始まっており、平均坪単価は高い水準で推移するとみられる。

 平均専有面積は71・89平方メートルで4年ぶりに70平方メートル台となった。ファミリー向け物件の供給数減少が比較的少なかった一方、90平方メートルを超える広い面積の物件が3・5倍に増えた。

 初月成約率は2・8ポイント増の79・3%となり、堅調に推移した。青葉区の2物件は専有面積が広く、高価格の物件を求める顧客から人気を集め、上半期の供給分はほぼ即日で完売した。

 DG社の担当者は「青葉区中心部で用地取得が継続する一方、太白区や泉区など準郊外エリアでも新規取得の動きがある。特にJR仙台駅の東側で、計610戸を供給する3物件の動向が注目される」と話す。

「高級物件」需要が底堅く 

 2024年上半期の仙台圏のマンション供給状況を見ると、仙台市青葉区で高級物件の供給が突出して増え、平均価格や平均坪単価を大きく押し上げた。

 不動産調査会社シーカーズプランニング(仙台市)の佐々木篤代表は「設備が充実していて広い物件は商品性が高く、金額が張っても富裕層が買うため、需要は底堅い。郊外に持った一戸建てに加えて買い増す人もいる」と分析する。

 仙台圏のマンションは、(1)富裕層向け高級物件(2)単身や2人世帯を対象にしたコンパクト物件(3)郊外型-3タイプが主流とされる。うち郊外型は価格を抑えているため、建築費の上昇分を上乗せしにくく、供給戸数の減少が目立っている。

 JR仙台駅周辺ではインバウンド(訪日客)増加を背景に、ホテルの建設計画が相次ぐ。首都圏などでは新築物件の用地取得を巡り、マンション事業者がホテル事業者に買い負けた例がある。佐々木代表は「仙台でもホテル建設がマンション供給に影響を与える可能性がある」と指摘する。

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