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東北の半導体関連産業、エンジニア派遣のニーズ高まる 5年間で2.6倍

 東北の半導体関連産業でエンジニア(技術者)派遣のニーズが高まっている。人材派遣大手スタッフサービス(東京)は、5年間で派遣実績が約2・6倍に増加。半導体業界の労働力不足を背景に、さらなる需要拡大を見込む。経験者だけでなく未経験者の育成にも注力し、人材を確保する。(経済部・三浦光晴)

半導体製造の微細加工を体験した研修=1月下旬、仙台市青葉区の東北大西澤潤一記念研究センター

東京の「スタッフサービス」、未経験者育成にも注力

 スタッフサービスは、技術職分野への常用型派遣事業「スタッフサービス・エンジニアリング」を展開する。東北の半導体関連産業への派遣の推移はグラフの通り。2024年12月時点で約200人を派遣中で、19年12月を1とすると2・57倍に伸びている。

 北海道・東北ブロックを所管する山本周統括ゼネラルマネージャー(GM)は「東北の技術者派遣は今後5年で2倍に増える」と展望する。半導体関連以外を含む技術職全体で2000人規模の需要を見込む。

 スタッフサービスは未経験者の育成を強みとする。オンライン研修やeラーニングを活用し、個人の特性や習熟度に合わせて成長を支える。

 産学官連携組織の東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアム(T-Seeds)にも参画。東北大西澤潤一記念研究センター(仙台市青葉区)の設備を研修に活用する。

 今年1月下旬には半導体業界を志す25人が微細加工を体験した。宮城県在住で現在は事務職の金子瑞貴さん(25)は「社会を支える業界。知識を身に付けて貢献したい」と話した。

 派遣できる人材は40、50代が増えつつあるが、シニア層は業界経験を求められる場合が少なくない。同社は研修を充実させることにより、未経験でも意欲のあるエンジニアに育てて、就業を後押ししていく。

 山本統括GMは「東北のエンジニア派遣の市場規模はまだ小さく、域外からの人材流入が起きにくい。働く機会、活躍の場を提供できればいい」と話す。

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