藤色のレモネードはいかが? 仙台・藤塚、津波に耐えた「復興の藤」 見頃に合わせて26日からイベント

仙台市若林区藤塚地区の五柱(ごちゅう)神社境内に、東日本大震災の津波に耐えて生き続け「復興の藤」と呼ばれる藤の木がある。近くの商業施設「アクアイグニス仙台」は26日から、藤の見頃に合わせてイベント「仙台藤塚 ふじ花見」を展開。「花をめでながら地域の過去と未来を考えてほしい」と呼びかける。

藤塚は名取川河口に面する田園地帯。地名は樹齢1000年超とも言われる五柱神社の藤に由来するとされる。神のいかだが漂着し、船体を編む藤のつるが根付いたとの伝説や、仙台藩祖伊達政宗が社殿の改築を命じたという逸話が残る。
震災前、地区には96世帯が暮らしたが、津波で住民26人が亡くなり、神社も押し流された。全域が災害危険区域となり、人々は住み慣れた地から移転。藤はつるを絡ませていた松の大木とともに枯れたと思われたが、その後、根元から新たなつるが芽吹いているのが見つかった。
元住民は社殿を再建し、藤棚を整備した。元住民で組織する藤塚会会長の東海林義一さん(83)は「藤はしっかりと根付いていたらしく年々元気に育った。生命力の強さを感じた」。神社とともに、集落が存在した証しになっている。

アクアイグニスは2022年の開業当初から28本の藤を芝生広場で栽培してきた。「復興の藤」の物語を知ってもらおうと花見イベントを初めて企画した。
「五柱神社のお参り」は、整備された避難の丘や公園を巡り、境内で「合言葉」を確認した人にお菓子などをプレゼントする。花見を楽しむランチセットや、藤のような彩りのソフトクリーム、藤色のレモネード(土日祝限定)などの提供もある。
「ふじ花見」は26日~5月11日。藤の見頃は5月上旬を見込む。企画した佐竹美沙さんは「藤塚に美しい藤の物語があることを知ってもらい、藤の成長とともに地域が発展する過程を見守ってほしい」と語る。
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