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「マグロ漁は獲った分だけ給料」 宮城・気仙沼で近海船員確保に向け、操業体験実施へ

 宮城県の気仙沼港を基地に近海マグロはえ縄漁を手がける気仙沼市の「気仙沼かなえ漁業」は、新規乗組員の確保を目的とした操業体験を6月に実施する。船員の採用を担う県北部船主協会(同市)によると、同港所属の近海船では初の試みで全国的にも珍しいという。

気仙沼かなえ漁業が所有する近海マグロはえ縄船=気仙沼港

 募集するのは40歳未満の3、4人程度。6月中旬ごろから140トンクラスの近海船に乗り込み、小笠原沖などで25日前後の航海を体験してもらう。居住地は問わないが、近海船は1カ月操業して水揚げし、2、3日休むサイクルを繰り返すため、なるべく近隣の居住者が望ましいという。

 操業体験中は投縄や釣り針の数を減らし、参加者への教育を重視する方針。期間中は正規の漁船員として雇用し、給与を支払う。

 東日本大震災で被災した市内の6漁業会社が共同出資し、2018年に設立された同社は近海船7隻を所有する。日本人乗組員42人の平均年齢は58・5歳。毎年2、3人が引退するため、高齢化による船員不足に悩まされている。

 斎藤伸介社長(64)は「乗組員の確保は待ったなしの状況だ。メカジキやヨシキリザメの価格が好調な今の時期に先行投資し、船員の育成と定着につなげたい」と期待を寄せる。

 同社の「けせん丸」(149トン)の甲板員佐藤太亮(たいすけ)さん(20)は兄公宣(たかのぶ)さん(22)=いずれも山形県庄内町出身=と共に、2年前から近海マグロ漁に従事する。「魚を取った分だけ給料に反映されるのでやりがいがある。体験を通して若い世代が増えてくれたらうれしい」と呼びかける。

 募集は5月末まで。書類選考とオンラインでの面接を経て決定する。業務内容に関する問い合わせは気仙沼かなえ漁業0226(28)9610、申込先は県北部船主協会0226(22)0793。

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