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死刑囚の首に縄「拒否権はない」 執行を担当、元刑務官の思い

 東京拘置所刑場の「執行室」。死刑囚が立つ踏み板(中央下)は開いた状態(法務省提供)
 報道機関に公開された、東京拘置所の刑場の「ボタン室」から見た「執行室」(右奥)=2010年8月、東京・小菅

 1990年代に複数人の死刑執行に携わったことがある元刑務官の70代男性が、4日までに共同通信の取材に応じた。執行の際に死刑囚の首に縄を巻く役割を担ったという。執行経験者が詳細な手順や思いについて語るのは異例。男性は「拘置所で勤務したら必ず通る道だと分かっていた。拒否権はない」と話した。

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 男性は東日本の拘置所で長年勤務。執行の際は当日の朝に任務を伝えられ、男性を含む5人の刑務官のほか、複数の職員が補助のために付き添った。死刑囚の首に縄を巻く「首掛け」を任され、順に執行した。

 縄の結び目は首の後ろではなく、必ず横に来るようにする。苦しみが軽減するとされる。両足を縛る「足掛け」などの役割もあり、男性は「人の首に縄を掛けるより『足掛け』の方が気が楽だったかもしれない。恥をかかないよう気合を入れた。震えはしなかった」と振り返る。

 自らの経験に関し「仕事だから割り切れる。死刑制度には賛成」としつつ「実際やるといいものではないとも感じる」と複雑な心境も語った。

共同通信