高額療養費の負担増、全面凍結 8月引き上げ一転見送り
石破茂首相は7日、医療費が高くなった際の患者の支払いを抑える「高額療養費制度」の自己負担上限額引き上げの実施を見送ると表明した。今年8月に予定していた引き上げも含め「見直し全体について実施を見合わせると決断した」と述べた。今年秋までに改めて方針を検討し、決定する。首相は1週間前に2度目の見直しを表明したばかりで、方針転換は異例の3度目。がん患者らの訴えや、野党の批判に加え、夏の参院選を控えた与党内からも見直しを求める意見が相次ぎ、全面凍結に追い込まれた。
首相は7日夜に官邸で患者団体と面会し、関係閣僚や与党幹部と協議。報道陣の取材に「検討プロセスに丁寧さを欠いたとの指摘を重く受け止める。患者に不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではない」とした。
政権の迷走ぶりに、与党内からは「どうして早く判断できなかったのか」との声が出ている。立憲民主党の野田佳彦代表は政府の対応が遅過ぎると批判。「患者らの生の声を最初から聞いて、もっと早く決断していれば、このような事態にならなかった」と語った。