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【日本大学】シナモンが新型コロナウイルス感染を阻害するメカニズムを解明

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。詳細は上記URLを参照下さい。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。



日本大学松戸歯学部の泉福英信教授を代表とする研究チームは,チューインガムなどに使われるシナモンミントやシナモンフレーバーなどの香料成分に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染を阻害する働きがあることを世界で初めて解明しました。この研究結果は,2024年12月24日に Current Research in Microbial Sciences 誌に発表されました。




【 本研究のポイント 】
・vRBD-hACE2結合のタンパク質-タンパク質およびタンパク質-細胞相互作用における香料組成物の阻害効果は,細胞へのSARS-CoV-2感染の阻害効果に反映された。
・香料の感染抑制効果は,SARS-CoV-2感染に一般的に必要とされる物理的相互作用に由来している可能性がある。
・香料/香料組成物として便利な食品素材であるシナモンミントおよびシナモンフレーバーは,SRAS-CoV-2 の感染拡大防止に極めて有用であると考えられる。
・これらの香料/香料組成物は,日常生活におけるSARS-CoV-2感染および後遺症を予防するための新しい習慣の開発に役立つ可能性がある。


【 研究の概要 】
SARS-CoV-2感染症は世界各地に拡大し,2020年~2023年にかけて感染者数,重症者数,死亡者数が増加した。重症化を防ぐためには,感染者から非感染者へのウイルスの拡散を抑えることが重要である。ウイルスの感染拡大を防御するために,便利で効果的な素材として香料/香料組成物を選択した。感染モデル実験において,香料/香料組成物がSARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)と宿主のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の間の結合を阻害するかどうかが以前に調査されていた。この結合により,組織へのSARS-CoV-2の自然感染が引き起こされる。以前の報告では,一部の香料/香料組成物がRBDとACE2の間の結合を強力に阻害することが報告された。これらの香料/香料組成物が実際にSARS-CoV-2の感染を阻害するかどうかを明らかにするために,組成物の処理によるVeroE6/TMPRSS2細胞への感染の阻害実験を実施した。香料化合物の中でも,シナモンフレーバーとシナモンミントは,他の香料に比べて,SARS-CoV-2に対する感染影響に対する抑制効果が強かった。シナモンフレーバーやシナモンミントなどの香料/香料組成物を使用する戦略は,日常生活におけるSARS-CoV-2感染の拡大を防ぐのに役立つ可能性がある。


抑制性香料化合物を含むチューインガムは,日常生活におけるSARS-CoV-2の感染拡大を防ぐために役に立つ。しかし,感染を抑制するために十分な量の香料化合物が溶出するようにチューインガムを開発する必要がある。したがって,チューインガムからの香料化合物の溶解性や溶出量を改善することが今後の課題である。ガム以外のキャンディーやペースト(ジャム等)についても香料化合物を加えるなど考慮する必要がある。

【 論文 】
・掲 載 誌:Current Research in Microbial Sciences
・タイトル:Preventive effect of flavor/fragrance components on SARS-CoV-2 infections
・著 者:Hidenobu Senpuku, Hiroyuki Kato

【 研究助成 】
本研究は,塩野香料株式会社との受託研究費により行われました。


▼本件に関する問い合わせ先
日本大学松戸歯学部 感染免疫学
泉福 英信(せんぷく ひでのぶ)
住所:〒271-8587千葉県松戸市栄町西2-870-1
TEL:047-360-9336
FAX:047-364-6295
メール:senpuku.hidenobu@nihon-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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