「動くと災い」へそ石10数年ぶり発見し固定

台座の上に固定されたへそ石=2015年3月7日、いわき市

 いわき市の永崎海岸で、十数年も姿が見えなかった奇石「へそ石」が、本来の位置から約20メートル南に離れた場所で見つかった。地元では「へそ石が動くと災いが起こる」と伝わる。住民は処遇を議論した末、元の場所の近くにセメントで固定。8日には現地に僧侶を呼んで「安住」を祈願した。

◎いわき住民ら「悪さしないで、じっとしていて」

 へそ石は卵形で幅約50センチ、高さ約60センチ、奥行き約70センチ。小さな岬の下の波打ち際で岩穴に収まっていたが、十数年前から砂に埋まり、見えなくなった。

 昨年6月、東日本大震災の津波に伴う護岸工事の作業員が、砂浜に埋もれているのを発見。近くに住み、へそ石を調べていた速水春雄さん(67)に連絡した。

 速水さんや永崎区長の秋山和夫さん(67)によると「へそ石は『浮気石』で、時々歩き回り、いろんなことをやる。嵐が来たり、災難が起きたりすると伝えられてきた」という。「千葉に流れ着き、わら打ち石にされたら、疫病が広がった」「豪商が持って帰ったら、へそ石が『元の場所に戻せ』としゃべった」など、さまざまな伝説も残る。

 1964年には岩穴にセメントで固定された。今回、震災前に動いたのか、津波で流されたのかは定かではないが、「動いたから津波が来たと思っている人はいる」と秋山さんは言う。

 へそ石の発見後、地元が悩んだのが保管方法だ。元の場所は浸食が進み、戻せない状態。津波で損壊し、新築した集会所に飾る案も浮かんだが「定位置から遠く、また何か起きるかもしれない」と却下された。

 結局、元の場所から数メートル上に動かし、岬の上に祭ることに。漁師が信仰する「龍神様」の隣で、台座の上に据え、定位置にあった当時の写真も添えた。

 8日の祈願祭には15人が参加。秋山さんは「へそ石も、近くにいたいと言っていたと思う。どうか、ここに落ち着いて、悪さをしないでと祈ったよ」と話した。

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