怒りを押し殺して質問する民主党の元環境相細野豪志に、自民党の環境相丸川珠代は平身低頭し答えた。
「福島の皆さまに誤解を与えているとしたら、おわびを申し上げたい」
2016年2月、衆院予算委員会。東京電力福島第1原発事故後に政府が定めた除染の長期目標「個人の被ばく放射線量で年1ミリシーベルト以下」を巡る質疑だった。
丸川は3日前、長野県での講演で、細野が環境相在任時に「誰にも相談せず、何の根拠もなく」長期目標を決めたと発言した。細野は予算委で「国際基準を基に福島の皆さんと相談して決めた」と強く反論した。
細野は今年7月の取材に「今でも『あの基準(除染目標)はおかしい』と言われることがある。(それに対応するのは)経緯や意味合いを説明する良い機会だと捉えている。あの時(予算委)も、そう考えた」と語った。
除染目標は、原発事故からの復旧時、住民の被ばく線量の限度を年1~20ミリシーベルトの範囲で決めるとする国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づく。
勧告を踏まえ細野は年20ミリシーベルト以下を避難指示解除の目安とし、年1ミリシーベルト以下を除染の長期目標に決めた。年1ミリシーベルトを一定の生活様式に基づく推計式に当てはめると、1時間当たりの空間線量は0.23マイクロシーベルトになる。
「健康や帰還の基準とは全く別物と強調してきた」(細野)が、多くの避難者は「年1ミリシーベルト以下にならないと安心できない、帰還できない」と受け止めた。丸川の失言の背景には、安全基準へと独り歩きした数値への不満があった。
同様の問題意識を、自民の元復興相根本匠(衆院福島2区)も抱く。根本は今年5月の国会質問で、食品の放射性セシウム基準値とともに除染目標を風評被害の一因と指摘した。復興相在任中には、除染目標の見直しを探った節がある。
「達成できる数値を示してほしい」。13年2月、福島市で開かれた福島県と原発事故の被災市町村、国との意見交換会で、県知事佐藤雄平が年1ミリシーベルトに代わる数値の設定を国に求めた。実現に長い時間のかかる年1ミリシーベルトでは住民の帰還が進まない、と市町村長らは危機感を募らせていた。
要請を受け、復興相の根本は「線量水準に応じた防護措置の具体化」を原子力規制委員会や関係省庁に指示した。有識者らも加わった検討チームが同11月に提言をまとめたが、新たな数値は盛り込まれなかった。
「年20ミリシーベルト以下ならば健康に影響がないと説明している以上、年1ミリシーベルトとの中間の数値設定は科学的に難しかった」。根本は今年6月、取材にこう明かした。
原発事故から9年半。被災地の放射線量は自然減衰もあり、多くの場所で大幅に低下した。原子力規制委員長の更田豊志は8月26日の記者会見で「除染目標をいきなり年1ミリシーベルトと置いたことが果たして正しかったのか、検証がなされてしかるべきだ」と指摘した。
見直し論も依然くすぶるが、細野は「もはや除染目標を大きく転換する必要はない。見直しは混乱のもとになる」と強調する。
(敬称略、肩書は当時)
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