一力遼の一碁一会 「対局時間」 早碁2時間、2日制も

一力遼の一碁一会

 先日行われた第46期天元戦5番勝負で井山裕太天元(31)を3勝2敗で破り、碁聖に続き二つ目のタイトルを獲得しました。過去5回、七大タイトルの挑戦を退けられていた相手だけに、結果を残せてうれしい限りです。応援、ありがとうございました。

 さて「囲碁は一局打つのにどれくらい時間がかかるの?」と、よく尋ねられます。今回は対局時間について解説します。

 手合に際しては、2人に同じ「持ち時間」が与えられるほか、「秒読み」という方式もあります。一般的に秒読みは「間近に迫る」の意味で使われますが、囲碁の場合は「一手打つまでの制限時間」を表します。

 例えば秒読みが1分の場合、一手を1分以内に打つ必要があります。時間内に打ち、次に自分の番になったら、また1分以内に石を置きます。これを対局が終わるまで繰り返します。

 通常、対局は午前中に始まり、途中で45分の昼休憩を挟みます。持ち時間は3時間や5時間が多く、3時間の対局は大概、両者が時間を使い切ります。その後は秒読みになるので、終わるのは午後6時ごろです。リーグ戦などは持ち時間が5時間に増えるため、夜の10時、11時まで続くことも珍しくありません。

 棋聖、名人、本因坊戦の挑戦手合は持ち時間が8時間で、1日では終わりません。初日に途中まで進め、2日目に中断した局面から再開するので「2日制」と称されます。一方、NHK杯や竜星戦などは持ち時間がなく、最初から秒読みで行われます。一局に費やされるのは約2時間で、「早碁」と呼ばれています。
一般的に長い碁はじっくりとした対局に、早碁はスリリングな展開になります。私自身は3連覇中の竜星戦をはじめ早碁で結果を残すことが多かったのですが、それは限られた時間の中で思い切って打てていたのが要因かもしれません。

 このように、棋戦によって持ち時間はさまざまです。陸上で例えると、2日制はマラソン、早碁は100メートル走という感じでしょうか。棋士はそれを独りでこなす必要があります。その土台になるのは、碁盤の前で半日以上考え続けることができる体力と集中力です。

 持ち時間の仕組みは将棋界も共通する部分が多く、長期戦に耐えられる体力と高い集中力が求められる点も相似しています。囲碁や将棋は「文化」だけでなく、「頭脳スポーツ」の側面も持ち合わせています。
(囲碁棋士)

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