2021年宮城県内の選挙(上)復興施策問う4市長選

 2021年の県内の自治体選挙は知事選と仙台市長選のほか、4市2町の首長選と3市5町の議員選が行われる。このうち石巻、登米、栗原、東松島の4市長選は4月18日告示、25日投開票の同日選となる。東日本大震災から10年がたち、石巻、東松島は復興事業の総括とポスト復興の在り方が問われる。登米、栗原は合併の優遇措置がなくなる中で財政健全化とまちづくりを、どう両立させるかが争点となりそうだ。

石巻/現職引退 後継選挙戦へ

 現職で3期目の亀山紘氏(78)は、昨年の市議会12月定例会で今期限りの引退を表明した。現在までに立候補の意思を固めたのは、3度目の挑戦となる市議の阿部和芳氏(60)のみ。他に出馬を模索する複数の動きが見られ、選挙戦となる公算が大きい。

 亀山氏は震災からの復興に一定の見通しが立ったことを引退の理由に挙げ「次代を担う人に新しい感覚でまちづくりをしてほしい」と述べた。後継候補に関しては明らかにしていない。

 阿部氏は17年の前回市長選、13年の前々回とも亀山氏に敗れた。「笑顔あふれる石巻再生」をキャッチフレーズに掲げ、今月中にも出馬を正式に表明する見通し。女性の起業支援や中心商店街の活性化を公約に盛り込む方針で、選挙戦を見据えて準備を進める。

 最大被災地の石巻市は21年度以降、復興事業の進展に伴い予算規模が大きく縮小する。相次いで整備された公共施設の維持管理費や人件費などが増加し、厳しい財政状況に直面する。

 選挙戦となった場合、復興施策や行政運営について現市政の継承か見直しかが主な焦点になる。

登米/再選公約 争点浮上か

 現職の熊谷盛広氏(69)が再選を目指す。他に立候補を表明した人はいないが、水面下で候補者を擁立する動きがある。

 熊谷氏は昨年12月の市議会本会議で出馬表明し「少子高齢化など多くの諸課題に立ち向かい、未来へとつなぐまちづくりを進める覚悟だ」と抱負を述べた。

 公約の目玉になりそうなのは、市役所迫庁舎がある佐沼地区の中心市街地再編と各町域とを結ぶまちづくりだ。(1)市民病院の新築移転(2)健康づくりの拠点施設(3)新図書館建設(4)移転後の市民病院に市役所を再配置-を柱に、試算150億~160億円の一大プロジェクトとなる見通しだ。

 累積赤字が165億円(19年度末)に膨らみ、毎年約10億円の資金不足が発生する病院事業の経営改善と財政改革も待ったなしだ。

 現職の方針に異を唱え、対案を示せる候補が出てくるかどうかが注目される。

栗原/因縁の対決 一騎打ちか

 再選を目指す現職の千葉健司氏(64)と、新人で元副市長の佐藤智氏(63)が立候補の意思を表明。小差だった前回17年と同様、中学・高校同級生の一騎打ちの公算が大きい。

 手厚かった合併による交付税配分が、21年度からなくなる。税収減を見据えた行財政改革、千葉氏が前回公約にした道の駅構想、栗原中央病院への産科開設などが争点になりそうだ。

 千葉氏は昨年9月の市議会で再選立候補の意思を述べた。地域応援商品券やインフルエンザ予防接種助成など新型コロナウイルス対策の実績を強調。道の駅構想は「一度立ち止まって考える」と説明する。

 佐藤氏は昨年10月に会見を開き、意思表明した。道の駅は白紙撤回を主張し、既存直売所の充実を優先課題に挙げる。実現していない産科開設を含め「現職が公約の重みをどう考えているのか問いたい」と語る。

東松島/現職 近く出馬を表明

 現職で1期目の渥美巌氏(73)は態度を明らかにしていないが、立候補が有力視されている。1月8日の定例記者会見で再選に関して意思を示す見通し。他に立候補の動きは表面化していない。

 渥美氏は17年の前回市長選で、新人2人との三つどもえの戦いを制して初当選した。連続6期務めた県議時代に培った県や国とのパイプを生かし、矢本海浜緑地パークゴルフ場の整備や全日制私立高「日本ウェルネス宮城高」の誘致などを実現した。週末の行事に小まめに出席し、全域で浸透を図る。

 震災の復興事業のうち、ハード面が本年度内に完了する見込み。今後は地域のコミュニティー再生や、被災者の心のケアが主な課題となる。

 前回立候補した元市議の2人は、河北新報社の取材にそれぞれ不出馬の意向を示している。

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