<NPOの杜>震災10年、変化受け止め NPO法人にじいろクレヨン

地域の農園で手際よく焼き芋づくりを手伝う子どもたち=2020年12月

 3月11日で東日本大震災から丸10年。コロナ下で迎える節目をどう受け止めているのか、石巻市のNPO法人にじいろクレヨンの柴田滋紀代表に伺いました。
 画家として自宅で子どもたちに絵を教えていた柴田さん。震災で住まいを失い自身も避難所生活を始めたことをきっかけに、石巻市内の避難所や校庭などで、子どもたちとボール遊びなどをする活動を始めました。「NPO石巻こども避難所クラブ」です。

 その後、「にじいろクレヨン」と改称し、2012年3月にNPO法人化。地域の農園や集会所、復興公営住宅近隣の公園、また公民館などで、遊びや創作・造形活動の場、親子の交流の場づくりなどを行っています。子どもたちが自由に表現できる場づくりを通して、自己表現ができる感性を育みます。
 「目の前の子どもたちのつらい状況を見て、居ても立ってもいられず始めた活動」と柴田さんは振り返ります。「子どもたちのために」を旗印に、「何かしたいけどできない」というやるせない思いを抱えていた大人たちが集まりました。「子どもたちと楽しい時間を過ごすことで、みんなが救われた」と言います。そのうち、子どもたちの伸び伸びとした暮らしを守り続けるためには、彼らを取り巻く環境を変えないといけない、と考えるようになりました。
 例えば公園での遊びの場づくり活動では、一人一人がバラバラに利用し遊ぶのではなく、つながりをつくり、血の通った場づくりを心掛けました。子どもを中心に、人と人、組織と組織のコミュニケーションの間に入って、人間関係の問題を緩和させ、つながりをつくる役割を担いました。
 「町内会や学校、他団体など関係者とのつながり方も変わってきた」と柴田さん。そうしたコミュニティー形成支援の取り組みを通し、「石巻は子育てがしやすいところ」という声も聞かれるようになってきたとか。身近なところに頼れる場、支え手がたくさんいる。これまで、必要な支援につながらなかった子どもたちや保護者たちにとって、それは大きな環境の変化です。

 時がたつにつれ、活動の財源など資源は減ってきます。しかし柴田さんは前を向きます。「ボランティアや寄付など多くの協力者がにじいろクレヨンを見守っています。私たちはまだそのつながりを十分に生かしきれていません。今まで培ってきた財産を十分に生かしていけば今後も大丈夫」
 今年はコロナ禍で活動を縮小し、企画していた記念事業も中止になりました。子どもたちにもコロナ太りや気持ちが荒れるなどの影響が出ています。そこで、冷静に工夫してカバーしようと、リモートでスタッフミーティングを定期的に開催しているそうです。
 「今は力を蓄える時。組織体制を整える時間に充てている。コロナ収束後、スムーズに再スタートを切れるように、落ち着いて物事を見ていきたい」と柴田さん。今後に向けてチーム編成や役割分担を話し合っています。それによって、「NPOや市民活動とは何なのか」といった概念を整理することにもつながったそうです。
 変化をしっかり受け止め前を向く組織の在り方に、多くのことを学びました。
(宮城県サポートセンター支援事務所 真壁さおり)
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 NPO法人にじいろクレヨン 連絡先0225(25)5144=ファクス兼=。電子メールはinfo@nijiiro-kureyon.jp
 ホームページはhttp://www.nijiiro-kureyon.jp/

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