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名指導者たちに聞く<1> 石巻専修大女子競走部監督・泉田利治さん

ストップウオッチ片手に選手を指導する泉田監督

 スポーツを通して石巻地方に大きな希望と元気を与えている人たちがいる。全国にその名をとどろかす指導者たちだ。それぞれの競技の普及やレベルアップはもちろん、次代を担う後進の育成などに尽力している。各競技で優秀な成績を収めた選手は全国に羽ばたこうと、さらに努力を重ねる。後進の育成に情熱を傾ける「名将」「名指導者」を紹介する。(聞き手・桜井泉)

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 日本ケミコン女子陸上部監督を1986年から2010年までの24年間にわたって務めた泉田利治さん(66)。横浜国際女子駅伝全日本コーチや五輪強化部専任コーチ、北京国際女子駅伝全日本監督などを歴任し、五輪選手や名選手を数多く育てた。新天地として選んだのが石巻専修大女子競走部。抜群の指導力、手腕を買われての招聘(しょうへい)で、専修大、石巻専修大からの熱烈なラブコールに応え、2014年4月の発足と同時に初代監督に就任した。

-女子競走部監督に就任した最大の理由は。

 東日本大震災で最大の被災地である石巻市内の大学だったことが大きい。選手たちの走りを通して少しでも市民の皆さんに喜んでもらえたらと思った。ちょうど60歳を迎える節目と、発足同時という新たなスタートにもひかれた。

-7人の部員でスタート以降、各種大会での活躍は目覚ましい。指導する上で心掛けていることは。

 「楽しくなければ陸上じゃない」をモットーにしている。ただし、これは楽を意味しているのではない。選手は一つのハードルを飛び越えれば、次の目標が見えて、精神的にも楽になり、次へのステップの足掛かりになる。まずはメンタル面の強化を大切にしている。

-中学、高校時代に、それほど目立った成績を収めていない選手が大学で急成長しています。秘訣(ひけつ)は。

 選手の性格を重要視している。素直な心、謙虚な心、感謝の心、献身の心の「四つ」があれば、必ず伸びる。シドニー五輪女子1万メートルで15位に入った高橋千恵美(元日本ケミコン)をはじめ、トップアスリートの多くは必ず持っていた。

-昨年10月の「第38回全日本大学女子駅伝対校選手権大会(杜の都駅伝)」の1区で区間7位の成績を残した斎藤凜さん(2年)の健闘には驚きました。

 どの選手も潜在能力が備わっている。まずは自分の長所をしっかりと把握することが大切だ。私の仕事は選手の成長を「消化不良」にはさせず、最大限に磨き上げることだ。斎藤は全国で戦える位置に近づいてきた。斎藤の活躍は他の部員のいい刺激になっている。1、2年後が楽しみだ。

-幅広い人脈を生かしたスカウト活動にも尽力しています。

 4月には秋田2人、山形と宮城から各1人の計4人の入部が決まっている。どれだけ情熱を持って陸上に取り組むか、ハングリー精神にも期待を寄せている。昨年は新型コロナウイルスの影響で十分な練習や強化合宿などができず、私や選手にとっては苦しい一年だった。それだけに「今年こそは」の思いは強い。

-今後の抱負などを聞かせてください。

 各種大会での成績はもとより、学生のためのオリンピックと言われるユニバーシアードに、ぜひ石巻専修大から出したい。高橋千恵美のように国際舞台で活躍できる選手を、この石巻の地から育てたい。

泉田利治(いずみだ・としはる)さん:1954年4月生まれ、塩釜市出身。仙台育英高時代は県総体で1500メートル、5000メートルの選手として活躍。大昭和製紙(現日本製紙)では朝日駅伝で宗茂さん(元旭化成)の区間記録を破るなど活躍した。塩釜市の自宅で妻と2人暮らし。

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