<東北の本棚>日進月歩の天文学 解説

宇宙大全 これからわかる謎の謎 二間瀬敏史 著

 「国際リニアコライダーの誘致推進」「国立天文台水沢VLBI観測所がブラックホール撮影に貢献」。東北をにぎわす宇宙関連ニュースに漠然と「なんかすごい」と思う人も多いのでは。本書を読めば、何がすごいのか納得するどころか、「自分も宇宙飛行士になりたかった」と後悔すら抱くかもしれない。
 本書は宇宙の始まりや素粒子と量子力学の世界、目に見えない暗黒物質の不思議やブラックホールの仕組み、太陽系の誕生、地球外生命の可能性など幅広いテーマを網羅。日進月歩で発展する天文学を分かりやすく解説し、基礎知識から研究最前線まで明快に理解できる。
 筆者は問い掛ける。「夜空に放った光はどのくらい走れば星にぶつかるか」。答えは10の23乗年。光が1年に進む距離(約9兆4600億キロ)を1光年とすると、太陽系を含む銀河系は半径約5万光年、厚さ約1000光年。宇宙の果ては銀河系から464億光年かなたに広がる。想像を絶するスケールだ。
 宇宙は138億年前のビッグバンにより、1点から始まった。膨張しながら、飛び交う素粒子や陽子、中性子が光子と衝突を繰り返し、38万年後に原子が誕生。光が真っすぐ進むようになり、雲が晴れたように宇宙が鮮明になった。
 各章末には「ビッグバンから0・1秒後の宇宙」「宇宙で最初にできた星の発見」「木星や土星の衛星における生命体の兆候」など未解決の謎やこれから解明される事項を羅列。「タイムマシンは実現可能か」といったコラムも収録し、好奇心をくすぐってやまない。
 筆者は一般相対性理論や宇宙論が専門の東北大名誉教授。400ページ弱の紙幅に詰め込まれた密度の高い内容に、ずっしりとした質量を感じさせる。まさにブラックホールさながらの引力で、読者を一気に引きずり込む。(江)

 さくら舎03(5211)6533=1980円。

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