震災関連死の申請今も 20年度、被災3県で32件

 東日本大震災の発生から10年目となる2020年度、岩手、宮城、福島3県で震災関連死の申請が計32件あり、10件が関連死と認定されたことが7日、河北新報社の調査で分かった。申請は東京電力福島第1原発事故の避難が続く福島県が8割を占めた。岩手県で昨年7月に亡くなった人が関連死とされたケースがあるなど、死亡時期にかかわらず認定が続いている現状が浮き彫りになった。(震災関連死取材班)

原発絡みか福島が8割

 調査は1月下旬~2月上旬、関連死がこれまで1人でも認められた被災3県の71市町村を対象に実施した。本年度の申請、審査状況は表の通り。関連死は制度上、申請期限がなく、死亡時期にばらつきがある。20年度の申請には、発生1カ月以内に死亡した事例もあった。

 福島県は27件の申請があり、自治体別では富岡、双葉、浪江3町が各6件。南相馬市5件、葛尾村3件、楢葉町1件と続いた。いずれも原発避難に絡む申請とみられる。

 地震・津波被害が中心の岩手、宮城両県は計5件。大船渡市では震災で障害を負った人が昨年7月に死亡し、今年1月に関連死に認められた。他市町では不認定の判定を不服とする再申請や、制度を知らずに申請が遅れた事例があった。

 河北新報社の集計によると、1月末現在の関連死者数は全国3773人。県別では福島2318人(61・4%)が最も多く、宮城929人(24・6%)、岩手470人(12・5%)と続いた。

 復興庁の最新データ(昨年9月末現在)によると、被災3県の死亡時期別の推移はグラフの通り。岩手、宮城は1年以内の死者が計1344人(96・1%)で大半を占めた。福島は1年以内に亡くなった1406人(60・8%)が関連死と認められた一方、5年目でも100人を超すなど、震災から時間がたっても認定が続いている。

 死亡時期を巡っては「発生から半年」が一つの目安とされる。新潟県中越地震(04年)で同県長岡市が「半年以上は関連死でないと推定」とする基準を作った。「長岡基準」と呼ばれ、東日本大震災でも各自治体が参考にした。ただし被害規模や原発避難の実態とそぐわない面が多々あり、個別事情を踏まえて審査している自治体が少なくない。

 福島県内4市町村で審査委員を務める今野順夫福島大名誉教授(社会保障法)は「原発避難の場合は数年後に自宅の様子を見に行ってショックを受けたり、避難生活の中で急に精神的な孤立が強まったりする。死亡時期で形式的に切らず、避難の実態を踏まえて常識的な判断をすることが大事だ」と強調する。

 震災と原発事故による関連死は全国3773人に上る。地震や津波から一度は助かった命を救うため何ができたのか。自治体に開示請求した資料の分析や関係者の思いを随時掲載し、関連死の実相に迫る。

[震災関連死]建物の倒壊による圧死や津波による溺死などの直接死ではなく、劣悪な避難環境や医療機関の機能停止など間接的な原因による死亡。国は「災害による負傷の悪化などで死亡した災害弔慰金の支給対象者」と位置付ける。市町村は遺族の申請を受け、医師や弁護士らで構成する審査会で関連死に該当するか判定する。認められれば最大500万円の災害弔慰金が支払われる。

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