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「北上のヨシ原」知名度アップ 写真家・堀内さんが小学生向け雑誌で紹介

堀内さんが撮影した北上川河口のヨシ原=2020年2月
20年以上、北上のヨシ原の取材を続ける堀内さん

 海外や東北で活動する写真家堀内孝さん(57)=多賀城市=が撮影した石巻市北上町のヨシ原が、小学生向け月刊誌「たくさんのふしぎ」3月号に取り上げられている。20年以上の取材で写した北上川河口のヨシや周辺の自然、共生する人々の営みが40ページにわたって掲載されている。

 「今まで味わったことのない開放感に、ぼくは思わず深呼吸をしました」。見開きいっぱいに黄金色のじゅうたんが広がり、堀内さんがヨシと出合った感動がつづられている。4月の火入れや青々と芽吹く姿、12月の刈り取りといった四季折々のヨシ原を、堀内さんの文章と50枚以上の写真で紹介する。

 さまざまな鳥や昆虫、魚介類など周辺に息づく生き物も取り上げた。堀内さんは「北上のヨシは海外の自然にもひけをとらない魅力がある。人間を含む生態系の小宇宙がつくられ、見事に循環している」と語る。

 文章と写真をそろえるまで約2年を費やした。友人の画家牧野伊三夫さん(56)=東京都=が描いた温かみのある表紙や挿絵も見どころだ。

 堀内さんは1998年、当時勤めていた写真通信社の取材で初めて北上を訪れた。かやぶき屋根に使われ、無駄のない循環で人々の暮らしを支えるヨシに引かれて何度も足を運ぶようになった。東日本大震災後は、津波と地盤沈下で約半分が失われたというヨシ原の再生の過程を記録してきた。

 「年々植物や生き物が増えてくるのを見て、よくここまでヨシが戻ったものだと思う」と堀内さん。ボランティアによる植樹などでヨシ原は震災前の約7割まで回復した。「いつか震災前以上の風景になるのを見てみたい。そして日本全国にヨシの面白さや美しさが広まってほしい」と期待を込めた。

 「たくさんのふしぎ」3月号は全国の書店やインターネット通販「アマゾン」で販売されている。1冊770円。

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