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「必ず海のどこかに」 女川湾で潜水捜索2年ぶり 宮城海保

岸壁上に献花し、捜索を見守る銀行員の家族ら
手掛かりの発見に向け捜索を始める潜水士ら

 宮城海上保安部は11日、女川町桐ケ崎にある桐ケ崎漁港沖合海域で、東日本大震災の行方不明者の捜索を行った。

 自治体との協議を踏まえて実施。午前中は海上保安庁職員による黙とうの後、同保安部所属の巡視船「くりこま」の潜水士6人が約30分間、海中を探索した。探した地点の水深は約20メートルで、水温は8度。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止になったため、周辺での捜索は2年ぶり。

 約80メートル間隔で配置した2つのブイを基点に、3人一組で半径約50メートルの円を描く環状捜索と、横一列に並んで直線で進む平行捜索を併せた「ジャックステイ捜索」を行った。

 午後は沿岸部で約1時間海中を確認。午前の捜索でキャリーケースや長靴などが発見されたが、行方不明者の手掛かりにつながるものはなかった。木下敏和保安部長は「海中の視界は良好だった。今後も関係自治体と協議して捜索を継続する」と話した。

 津波で8人が行方不明になった、七十七銀行女川支店の行員家族らが岸壁から見守った。同支店に勤務していた長女絵美さん=当時(26)=の行方が分からない石巻市の主婦成田博美さん(60)は「この10年間、何をしていても絵美のことは頭から離れない。必ずこの海のどこかにいると思うので、諦めずに見つけてあげたい」と目に涙を浮かべた。

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