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人集う場に 女川・兼宮商店、浜焼き処オープン 震災10年「やっとスタート地点」

20日にオープンする浜焼きコーナーの店内と宮元社長

 女川町で海産物の卸販売などを手掛ける兼宮商店は、町内で水揚げされた魚介類などを味わう「兼宮商店 浜焼きコーナー」を20日、同町鷲神浜の国道398号沿いにオープンする。東日本大震災で店舗と事務所が被災し、計5回ほどの移転を経て開店にこぎ着けた。町内外の人に楽しんでもらえるようにと、豊富なメニューやサービスをそろえる。

 店舗は木造平屋で、約130平方メートル。好きな食材を選び、各テーブルにある焼き台で自分で焼いて食べる。食材は町内で水揚げされた新鮮な魚介類が中心。カキやホタテ、タコ、ハマグリのほか、季節によってサンマやシラスも用意する。ステーキやしゃぶしゃぶ、カレーライスもある。デリバリーにも対応する。

 宮元潔社長(51)は「女川は魚介類が豊富で、浜焼きは喜んで食べてもらえる。専門の店が今までなかったのが不思議」と話す。

 店内には浜焼きの雰囲気に合う木のテーブルと椅子を配置し、最大で50席を設ける。キャンピングカーなどで町を訪れた人のために、シャワーやトイレを24時間貸し出す。飼い犬を連れた入店も可能で、隣接地にドッグランも造った。

 もともと海産物や乾物を扱う同社は、海沿いにあったマリンパル女川に店舗、同町浦宿浜に事務所をそれぞれ構えていたが、震災の津波で被災した。当時は海産物を仕入れるのが難しかったこともあり、町内で足として必要とされる自転車とバイクの販売を始めた。

 その後店舗は仮設の「マリンパル女川おさかな市場」や仮設商店街「きぼうのかね商店街」に入り、事務所も町内を転々とした。2016年には、町中心部に整備された地元市場ハマテラスに焼きカキやステーキなどを提供する「Gozainn(ゴザイン)」を開店した。

 道路拡幅に伴う立ち退きもあり移転を繰り返した。宮元社長は「10年たってやっとスタート地点に立てる。浜焼きというと観光のイメージがあると思うが、住民の皆さんも来やすくて楽しめる店にしたい」と意気込む。

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