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震災後を活写 石巻の平井さん写真展「10年の幸福」 旧観慶丸商店

震災からの思い出を語る平井さん(右)と遠藤さん

 東日本大震災後の石巻を撮影し続けてきた写真家平井慶祐さん(42)=石巻市渡波=の写真展「10年の幸福写真」(実行委員会主催)が、6日から14日まで石巻市中央3丁目の旧観慶丸商店で開かれる。平井さんは「震災後に離ればなれになった人たちが、写真をきっかけに笑顔で再会できる空間をつくりたい」と思いを込める。

 10年間で撮りためた約3000点以上を、パネルやアルバムで展示する。自分や家族、友人などが写っている写真は、その場で持ち帰ることができる。

 平井さんは「家族や友人に写真を持って帰って、会話のきっかけにしてほしい。最終的には会場に1枚も残らないのが理想です」と笑顔で語った。

 写真は被災地で懸命に生きる人々の何げない表情を切り取った。実行委員長の遠藤綾子さん(52)は「ふとしたときに撮られた豊かな表情が魅力。つらかった震災直後でも、必死な顔や笑顔の瞬間があって『こんな顔をしてたのか』と気づかされる」と話す。

 平井さんは2011年にボランティアとして石巻を訪れ、翌年に移住。震災直後に渡波地区の保育所に身を寄せた住民らと絆を強め、結婚式も同地区の遠藤さんの自宅跡地で挙げた。支援者の立場から「ご近所さん」になり、住民たちから親しまれている。

 「苦しみを減らしたり悲しみを無かったことにはできない。けれど喜びを増やすことはできる」。

 結婚式のスピーチがそのまま写真展のキャッチコピーになった。参加した200人以上の住人らが笑顔で祝福してくれた。幸福の光景は今でも目に焼き付いている。平井さんは「1回しかない10年の機会に、写真を見て立ち止まってほしい。みんなで集まって『案外笑ってるじゃん、頑張ってたよね』と笑って振り返って、また歩きだす力になってほしい」と祈る。

 午前10時~午後5時で入場無料。9日は休館日。会場には記念撮影ができるブースも設け、要予約で1日5組まで撮影できる。1組1000円で、プリント写真を受け取ることができる。

写真家 平井慶祐「10年の幸福写真」展 | 旧観慶丸商店

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