学校安全推進 SPS認証校に湊小、河北中 石巻で計9校
学校安全を「生活」「災害」「交通」の3分野で推進しようと大阪教育大などが展開する「セーフティプロモーションスクール(SPS)」に本年度、新たに石巻市湊小(児童127人)と同市河北中(生徒131人)が選ばれた。東日本大震災を教訓に災害安全に力を入れ、さまざまな想定での避難訓練や子ども目線での校内の安全点検など自主的な活動を繰り広げてきた。県内の認証校は石巻市の計9校になった。
両校で2月24日、それぞれ認証式があった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、同大の藤田大輔教授(大阪教育大学校安全推進センター長、日本SPS協議会理事長)に代わり、SPS推薦委員の千葉正人同市門脇中校長が、児童生徒代表に認証証明の盾と旗を手渡した。
湊小は、湊こども園、湊中と連携した防災教育の取り組みを推進。定期的に防災主任が情報交換会を開催し、こども園とは地震津波に対応した高台への避難訓練を行った。
児童が身の安全を守るための自主的な活動として、環境美化委員会が「安全点検」、保健給食委員会が「けが調べ」を実施。結果を発信し、注意喚起とともに自助の意識が高まった。
坂本忠厚校長は「SPS認証は新たな安全教育のスタート。職員、地域、保護者が一丸となって取り組む」と話した。
環境美化委員長の6年大場夢叶さん(11)と保健給食委員長の6年千葉遥妃さん(12)は「活動の成果が認められた」と喜び、「自分の身は自分で守る意識を持ち続けてほしい」と下級生に期待した。
河北中は、新型コロナの影響で昨年4~5月の臨時休校の期間を利用し職員だけの避難訓練を実施。管理者不在の場合や事前に役割を決めないなど、さまざまな想定での訓練によって、職員の危機対応力を向上させた。
生徒の活動では、防災啓発のティッシュと手作りの防災キャンドルを独居老人に配布。ティッシュには校内のコンクールで優秀賞に選ばれた「防災合言葉」の印刷物を入れた。地域の危険箇所や災害が発生しやすい所を調べて防災マップを作り、マップを活用した学習にも取り組む。
生徒会長の2年伊藤優河さん(14)は「(災害時は)自分で考えて行動したい。学校が避難所になれば、お年寄りや子どもも避難して来る。これからも地域との関わりを深めていきたい」と語った。
福田光一校長は「SPS認証を誇りに職員、保護者、地域と共に安全で安心な学校にしていく」と決意を述べた。
SPSは地域や家庭と連携した安全な教育環境を整えた学校を認証する取り組み。2001年に児童8人が犠牲になった同大付属池田小殺傷事件を教訓として14年に始まった。SPSの認証校は日本で計33校となった。県内は石巻市のみで、これまでに鮎川小、広渕小、住吉中、万石浦小、青葉中、渡波小、湊中が認証を受けている。