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蔵改装、鎮魂の新拠点に アートスペースを3.11開設 石巻

蔵の1階で木像を制作するパルコさん

 徳島県出身の現代芸術家パルコキノシタさん(55)が、東日本大震災から10年となる3月11日、新しいアートスペースを石巻市日和が丘1丁目にオープンさせる。木造2階の蔵を改装し、「震災で亡くなった人たちの鎮魂と、未来への希望の二つの側面を併せ持つ場所にしたい」と願いを込める。

 築約80年という蔵をリノベーションし、隣接するシェアハウスを含めて「日和坂アート研究舎」と名付けた。

 1階は、自身の作品制作と展示のスペース。震災で死亡・行方不明となった人々を表現した木像を、これまでに約4000体制作してきた。このうち約1000体を展示する。一人一人の命と向き合って掘った木像に、同じ表情のものは一つもない。今後もライフワークとして制作を続ける。

 2階は、地方を拠点に活動する芸術家の作品展示スペースとなる。1人目は高知県の現代アート作家石井葉子さん。代表作は瀬戸内海の精霊を表現した人形「妖怪イヌジマ」だ。一見不気味だが、独特の愛らしさが特長で「その土地ならではの地域性がある作品。東北の妖怪伝説との親和性もある」とパルコさんは評価する。

 1階は「鎮魂」、2階には「希望」の役割を持たせる。震災直後から被災地に足を運び続け、2016年に制作拠点を石巻に移した。2階では、地方ならではの優れた作品を取り上げることで、全国から人を呼び込むことを念頭に置く。

 パルコさんは「石巻に来て多くのつながりに恵まれた。次は芸術を通して、地域の人と来場者同士につながりという未来への希望を感じてもらえる場にしたい」と展望を語った。

 所在地は石巻市日和が丘1丁目8の9。

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