市長選告示まで1カ月 東松島、現職以外に動きなく 石巻、新人4人の争いへ
任期満了に伴う石巻市長選(4月18日告示、25日投開票)と東松島市長選(同)は18日、告示まで1カ月となった。石巻市は現職の亀山紘氏(78)が引退を決め、新人4人が争う構図がほぼ固まった。3期12年続き、東日本大震災からの復興を進めてきた現市政からの転換点となり、4人が政策の違いをどう打ち出すかが注目される。東松島市は現職の渥美巌氏(73)が立候補を表明した以外、出馬の動きは見られない。
◇ 石巻市長選
石巻市長選に立候補を予定しているのは表明順に市議阿部和芳氏(61)、元衆院議員勝沼栄明氏(46)、県議斎藤正美氏(66)の3人。医師長純一氏(54)も18日に正式表明する。
次期衆院選宮城5区に自民党から立候補を予定していた勝沼氏は、市議有志や若手経済人らの要請を受け、市長選への挑戦を決断した。国とのパイプや医師の知見を生かした新型コロナウイルス対策などをPRする。市議らの後押しを受けて支持拡大を目指す一方、後援会青年部を拡大し、若者への浸透も図る。
県議会副議長の斎藤氏は若手農漁業者や介護従事者らから要請を受けた。6日の出馬表明では「亀山市政を継承し、さらに発展させる」と強調。路線継続を前面に出し、感染拡大の早期収束や災害に強いまちづくりなどを掲げた。県議会2月定例会が閉会予定の19日に辞職し、活動を本格化させる。
勝沼、斎藤両氏は衆院選宮城5区の自民公認候補だった経歴が重なり、保守分裂の図式も見える。
両氏を念頭に「組織対草の根の戦い」と語るのは、最も早く1月19日に出馬表明した阿部氏。13、17年に続き3度目の挑戦となる。厳しさを増す市財政の健全化や議員定数削減などを訴える。新型コロナ感染予防で会員制交流サイト(SNS)を使った発信に力を入れ、「時代の変化に対応するのもリーダーの資質」と語る。
元市包括ケアセンター所長の長氏は、市立病院の運営や地域包括ケアの現状に危機感を示し、市長選での争点化を目指す。17日には市立病院開成仮診療所長時代に連携した被災住民有志から出馬要請を受け「特定の組織に頼らず、市民の力を借りて戦う」と応じた。18日に記者会見して公約を発表する。
◇ 東松島市長選・市議選
東松島市長選は、現職の渥美巌氏(73)が再選を目指して無所属で立候補する意思を表明している。現時点で他に立候補の動きは見られず、無投票の可能性が高まっている。
渥美氏は2021年度に始まる第2次総合計画後期基本計画の具現化に取り組む姿勢を強調。具体策として、子育て環境の充実や県内上位を目指す学力向上、企業誘致による雇用の確保、三陸沿岸道上り矢本パーキングエリア(PA)隣接地に「道の駅」を整備する構想などに意欲を示す。
渥美氏は無投票の公算が大きいことについて「本来なら政策を論じ、住民が選択するために選挙があるべきだと思う」と語る。28日に事務所開きをする方針。
東松島市議選(定数18)は、ベテランの現職3人が引退の意向を示し、元議員や新人数人が立候補する見込み。