新天地へ 石巻地方で活躍、アスリート紹介
石巻地方で活躍し、各種競技で活気をもたらしてきた中学、高校の選手たち。新たな夢や目標を胸に、新天地に羽ばたくアスリートを紹介する。
◇
■空手・高橋さくら選手〔蛇田中 → 石巻市桜坂高〕
幼いころから憧れ続けた桜坂高に進学する。先鋒としてチームをけん引する選手を目指し、「団体で優勝、個人は全ての大会で上位入賞したい」と意気込む。
空手部のない蛇田中では、テニス部で体力づくりに打ち込んだ。前衛で培った瞬発力や足さばきを生かす。スピードを重視した空手が持ち味で、得意技は上段蹴りと逆突き。
「身長が高くないからこそ、速さでリーチの差を埋める。相手の懐に飛び込んで、もっと早く技を出せるようにしたい」と研さんを重ねる。
小3で世界選手権大会に出場。3位の成績を収めるなど早くから飛び抜けた実力を見せてきた。一昨年の8月には、タイのバンコクで開かれた「日本空手協会アジア・オセアニア空手道選手権大会」の女子14歳個人組手で優勝に輝いた。「小3の時はがむしゃらだったが、考えた試合運びができた。対応力の向上を実感できた」と振り返る。
3学年上の姉の希杏さんが、昨春まで桜坂の空手部に所属していた。最後まで諦めない姿勢を見習い、姉の試合を何度も見返し研究を重ねる。スポーツ少年団時代の先輩も多く在籍するほか、顧問の和地淳悦教諭には地区の練習会などで指導を受けてきた。「よく知った人たちもいるいい環境で練習に打ち込める。インターハイなど全国水準の選手たちと戦えるのが楽しみ」と目を輝かせた。
昨年も全国や世界大会の切符を手にしていながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で活躍の場を失った。「休み期間も練習に打ち込み、組手を見返すいい期間になった。高校では形にも挑戦していきたい」。春に立つ、憧れの舞台を見据える。
■陸上・本田姫星選手〔石巻好文館高 → 仙台大〕
石巻に輝く期待の星は、全国大会入賞を胸に、大きく跳躍する。
仙台大陸上部には、2学年上の兄龍之神さんも所属する。県外の大学からも声が掛かる中、兄と同じグラウンドでの挑戦を決めた。「県外で一人で暮らすより、兄と同じ場所で陸上に専念したい」。全日本大学選手権大会(インカレ)での入賞を目標に見据える。
中学から陸上を始め、抜群の身体能力と動体視力を武器に早くから頭角を現した。昨年の県高校総体代替大会の走り幅跳びでは5メートル60で、一昨年の県高校総体に続く二連覇を達成。七種競技にもほとんど「ぶっつけ本場」で挑み、他の強豪を抑えて優勝する八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せた。
一方、「高校での目標は走り幅跳びで全国入賞することだった」と悔しさもにじませる。2年のインターハイと国体で初めて全国大会出場を果たしたが、どちらも入賞はかなわなかった。リベンジを誓ったが、翌年のチャンスは新型コロナウイルスの影響でついえた。
自己ベストは2年県新人の5メートル68センチ。追い風3・2メートルの参考記録では5メートル79センチを跳ぶ。土壇場で緊張してしまう精神的な課題を克服し、大学では6メートル台の記録を目指す。昨年12月から仙台大での練習にも参加し、大学生と共に汗を流している。
設備の整った環境を体験し、「全国表彰台レベルの6メートル10センチも夢じゃない」と期待に胸を膨らませる。大学では運動栄養学科に進み、将来は管理栄養士を目指す。自身や母校の後輩のトレーニングに役立てようと志す。
「高校のリベンジを果たし、インカレで表彰台に上がりたい」。目標を現実にするべく、闘志を燃やす。
■重量挙げ・佐々木柾選手〔柴田高(蛇田中)→ 東京国際大〕
石巻市蛇田中出身で柴田高ウエートリフティング部で全国制覇するなど活躍した。強豪の東京国際大(埼玉)に進み、パワーと技術に磨きを掛け、世界で活躍する選手を目指す。
複数の強豪校から誘いを受けたが、大学トップクラスの選手が多く在籍し、東京五輪代表候補選手でもあるコーチに指導を受けられる東京国際大を選んだ。
「4年間で力を付け、インカレや全日本選手権優勝を狙う。国際大会や、いずれは五輪にも出てみたい」と意気込む。
全国高校総体(インターハイ)が中止となるなど新型コロナウイルにほんろうされた高校ラストイヤーも、しっかり成長を示した。8月の県高校総体代替大会96キロ級でスナッチ、クリーン&ジャークともに県高校記録を更新。トータル281キロで優勝すると、この記録でエントリーした全国高校通信大会で日本一に輝いた。2月の全日本ジュニア選手権大会でもクリーン&ジャークで東北高校新記録となる159キロをマークし、3位入賞を果たした。
研究熱心な性格が成長を後押ししている。コロナ禍の今季は、写真共有アプリ「インスタグラム」で動画を検索し、トレーニングやストレッチなど気になるものをどんどん試した。
「自分で工夫しながら練習するのが楽しい。思うようにいかないと悔しいが、成功までの課程を楽しんでいる」と話す。
学業面も怠らず、3年間体育科で学年トップの成績を維持した。大学でも文武両道を貫くつもりだ。
「英語教育にも力を入れている大学。スポーツはもちろん、世界中の人とコミュニケーションが取れるよう英語を頑張りたい」と意欲を燃やす。