閉じる

復興完結へ 新年度スタート 石巻地方

復興支援で石巻市に派遣された職員への辞令交付式
石巻市に採用された新規職員への辞令交付式
渥美市長から辞令を交付される新規採用職員
須田町長(左)から辞令を受け取る新規採用職員たち

 2021年度が始まった1日、石巻地方2市1町は新規採用職員や派遣職員への辞令交付式、年度初め式を開いた。東日本大震災から10年がたち、21年度は復興事業の完結を目指し、復興後を見据えたまちづくりを加速させる1年。新型コロナウイルスの感染も再拡大しており、職員らは緊張感を高めて地域の発展に力を尽くすことを誓った。

◇ 石巻市

 石巻市の新規採用職員への辞令交付式は市役所であり、石巻地方広域水道企業団の1人を含む計47人が出席した。

 亀山紘市長は石巻南浜津波復興祈念公園や市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)の完成に触れ、「復興は着実に形になってきた」と強調。「復興後も発展し続けるためには、皆さんの力が重要だ。力を存分に発揮してほしい」と激励した。

 地域協働課に配属された同市築山出身の阿部瑞希さん(22)は、小学校卒業の直前に震災を経験。「いろいろな人に助けてもらい、地域に貢献する仕事をしたいと思った。早く仕事を覚え、役に立ちたい」と語った。

<派遣職員に感謝>

 石巻市の復興事業を応援するため全国の自治体から新たに派遣された職員への併任辞令交付式も市役所であった。

 県や東京都、浜松市、香川県丸亀市など10自治体からの13人と、石巻地方広域水道企業団に仙台市から派遣された1人が出席。亀山紘市長は「震災から10年が経過しても派遣してもらい、心から感謝する。復興のための力添えをお願いしたい」と述べた。

 神奈川県平塚市から派遣された小野諒さん(26)=震災伝承推進室=は天童市出身で、震災後は気仙沼市でボランティアに励んだ。「採用3年目の前年度から派遣制度に申し込めるようになり、希望がかなった。被災地で多くのことを学びたい」と語った。

 前年度からの継続も含めた市の派遣職員は26団体50人で、昨年の51団体116人から大きく減った。

◇ 東松島市

 東松島市は年度初め式を市コミュニティセンターで開いた。東日本大震災から10年が経過し、新しい時代へ踏み出す決意を誓った。

 職員約100人が出席した。渥美巌市長は訓示で「復興のハード事業が完結し、心の復興が課題だ。人口減少は避けられず、地方自治体が生き残りを懸けて知恵を出し合う時代だ」と強調。「新しいものに挑戦し、市民の幸せのために働いてほしい」と述べた。

 式に先立つ辞令交付で、新規採用職員11人や応援職員として受け入れる日本航空の男性社員2人を含む計25人に渥美市長らが辞令を手渡した。防災課に配属された新規採用職員阿部航大さん(26)が「全体の奉仕者として職務を執行する」と宣言した。

◇ 女川町

 女川町の辞令交付式は町生涯学習センターホールであり、職員ら約100人が出席した。新規採用の10人も須田善明町長から辞令を受け取り、町職員としての一歩を踏み出した。新規採用で健康福祉課に配属された木村絵美さん(24)は「全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行する」と宣誓した。

 須田町長は「震災から10年たち、次の10年でより前進するために準備する1年になる。チームとしてどうあるべきか考え、真剣に向かっていってほしい」と訓示した。

 本年度は東日本大震災の復興支援のため、初めて他自治体に職員を1人派遣する。福島県双葉町に派遣される佐藤友希さん(39)は「これまで全国から助けてもらったので、今度は助けたい」と話した。

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ