社説(4/7):監護者の指定/子ども最優先の法整備を

 娘の離婚に伴い、親代わりとして孫を育ててきた祖母が自分を「監護者」に指定するよう求めた申し立ては認められるか-。こうした点が争われた家事審判で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)が「父母以外の第三者は審判を申し立てることができない」とする初の判断を示した。祖母の主張を認めた1、2審を覆し、申し立てを却下した。

 さまざまな事情から親が子どもを育てられない家庭で、祖父母が子どもの世話をしている例はよくある。今回の決定で、最高裁は民法の条文を厳格に解釈したが、子どもの実質的な権利や利益が損なわれる恐れもある。

 法相の諮問機関、法制審議会(法制審)は家族法制の見直しを進めており、祖父母を含む適切な近親者が親の監護権を補充できるよう議論の進展に期待したい。

 決定によると、娘は2009年に出産し、翌年に離婚。祖母、孫の3人で約7年間暮らした後、1人で家を出て再婚した。孫は再婚相手との同居を拒み、17年秋ごろから体調不良を訴えて小学校を休みがちになった。祖母との生活を続けたいと希望したため、祖母が家裁に審判を申し立てた。

 民法766条は、離婚後の子の監護者について「父母が協議して定める」とし、協議が不調となった場合、家裁が決めるとしている。だが、大阪家裁は実態を踏まえて祖母の主張を認め、大阪高裁も「子の福祉」のためなら、父母以外も申し立てができるとして、家裁の判断を支持した。

 第1小法廷は、この民法の規定を巡り、裁判官5人の全員一致で「子の利益は最も優先して考慮しなければならないが、第三者の申し立てを許す根拠にはならない」と結論づけた。

 明治時代の民法は、監護者を定めずに離婚した場合、父が子の世話をするとしていた。「監護者」を定めた現行民法の親権規定は、こうした戦前の家長権を基盤にしており、権限や位置付けに曖昧な部分も残されてきた。

 法制審に先立ち、家族法制の見直しを議論した有識者らの研究会は、2月に公表した報告書で、父母の親権を制限するほどではなくても、監護能力に懸念がある場合、「第三者の監護者指定は有効な選択肢となり得る」と指摘。第三者を監護者に指定できるようにする法改正や、祖父母と孫の面会交流規定を設けることの検討を提言した。

 離婚後の子どもの養育を巡っては法制審の部会が議論を始めたばかりで、こうした報告書の内容も検討材料になる見通しだという。

 家族のかたちが多様化する中、子どもが不安定な環境に置かれる例は今後も増えることが予想される。個々のケースに応じて、安心して暮らせる場所の確保を最優先に考えて法整備を急ぐべきだろう。

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