社説(4/2):宮城にまん延防止措置/小出しの策 決定打にならず

 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」が宮城県に適用されることになった。仙台市を対象に集中的に対策が講じられる。
 県と仙台市は2月下旬以降、新規感染者が増加の傾向を示したため、3月18日に独自の緊急事態宣言を出し、感染抑止対策を強化していた。
 しかし、1日当たりの新規感染者は200人を突破し、最多を更新するなど効果が上がっていない。
 重点措置の適用により感染対策の「急所」と目されてきた飲食店への知事の権限が強まるが、効果を疑問視する向きもある。有効打となるかは不透明だ。
 病床の使用率も急上昇している。医療供給体制が逼迫(ひっぱく)しないよう、病床とスタッフの確保に向けて、総力を挙げて取り組んでほしい。
 2月に新規感染者がゼロの日もあった宮城県で、なぜリバウンド(感染再拡大)したのか。県独自の緊急事態宣言が実効を挙げていないのはなぜか。弱点はどこか。県と市には感染者急増の背景と要因の検証を求めたい。
 不要不急の外出や移動の自粛を繰り返し呼び掛けるだけでは不十分だ。長期間、時短営業を余儀なくされる飲食店や広く市民の協力を得るためには、科学的な分析に基づいた説得力のあるメッセージが必要だ。
 措置の適用期間は5日から5月5日。大型連休は初の緊急事態宣言が発令された昨年に続き、今年も窮屈な生活を強いられることになった。
 措置の適用で、知事は時短営業を要請した事業者が応じない場合、命令に切り替えることが可能となる。従わない事業者には20万円以下の過料を科すことができる。
 県の緊急事態宣言は4月11日が期限だが、時短営業はさらに1カ月間、延長される。行政は強化される権限を振るう前に、説明責任を果たすべきだ。
 飲食店の経営は一段と厳しさを増すのは必至だ。納入業者も経営を圧迫されている。
 時短営業に応じた飲食店や納入業者には、一律の支援金や一時金が支給されるが、減収分の一部を穴埋めするにすぎない。急場しのぎの延命措置をいくら繰り返しても、経営破綻の不安は拭えない。
 ワクチン接種が進み、コロナ収束の見通しが確かになるまで持ちこたえられないと、懸念を深める事業者が増えているのが実情だ。
 仙台市は支援金を増額し、対象を拡大した。国も重点措置の適用に際し、協力金を拡充するが、支援にとどまる。
 事業者に深刻な経営不安を抱かせることなく、時短や休業の要請を受け入れてもらうためには、事業規模や売り上げに即した損失補償へ制度設計を切り替えるべきだ。
 小出しの一手は決定打にはならない。対策は抜本的であればこそ、有効である。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
先頭に戻る