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「がんばろう!石巻」3代目に 黒沢さんら看板付け替え

付け替えられる3代目の「がんばろう!石巻」看板

 東日本大震災の月命日の11日、石巻南浜津波復興祈念公園の市民活動拠点にある「がんばろう!石巻」看板が3代目に生まれ変わった。津波で甚大な被害を受けた石巻市南浜・門脇地区で10年にわたり被災者を励ましてきた看板は、震災伝承のための新しい一歩を踏み出した。

 現地で設置作業があり、「がんばろう!石巻の会」の黒沢健一事務局長(50)をはじめ、メンバーら5人が参加した。枠に取り付けられた2代目の看板を外し、計12枚のベニヤ板でできた3代目に付け替えた。この日は初代の設置からちょうど10年だった。

 震災発生から1カ月後、門脇町で配管工事業を営んでいた黒沢事務局長は、津波で流失した店舗兼自宅跡に初代を設置した。被災した町で見つけたベニヤ板を使用した。黒沢事務局長は「津波に負けたくない。地域の人を励ましたいという思いだった」と振り返る。

 看板周辺は、いつしか犠牲者を追悼し、津波災害の教訓を伝承する場になっていった。老朽化と公園の整備に伴い、2016年4月には、石巻市門脇中の生徒がペンキで文字を塗った2代目を設置した。

 3代目の看板は初代からと同じデザインを継承。サイズも同じ縦約2メートル、横11メートル。2代目と同様、市門脇中の生徒たちが製作に協力した。「震災を知らない世代の防災学習になってほしい。次の災害で犠牲になる人を少しでも減らしたい」と黒沢さん。

 看板は5年ごとに作り替え、震災の記憶を次世代に伝え続けていく。

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