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児童生徒の支えに 石巻・けやき教室、適応指導で着実な成果

生徒たちの今後の成長に期待を寄せ、あいさつする境教育長(奥中央)

 石巻市向陽町の適応指導教室「けやき教室」が着実に成果を挙げている。登校したくても登校できずに不安な日々を送る児童、生徒の悩みを和らげ、学習意欲や自立心、社会性などの育成に尽力。的確な指導や助言で児童、生徒の「大きな支え」となり、学校復帰が相次ぐ。23日にあった2021年度の開所式には中学生6人が出席。関係者の激励を受けながら学校復帰に向けて新たな一歩を踏み出した。

 けやき教室は1992年、住吉町の旧市長公舎に設置。翌93年に県の運営に移管され、2000年から市が運営する。東日本大震災で使用できなくなったが、石巻市北村の遊楽館内への移設を経て、15年に新築、16年には子どものサポートハウスが設置された。

 現在、元中学校校長の内海茂俊室長(兼指導員)をはじめ、指導員2人、サポートハウスのスーパーバイザーの4人が常駐。基礎学力補充を手助けする一方、個々の状態に応じた生活指導や自立を促しながら学校への復帰を支援している。

 開所日は毎週火曜から金曜日の4日間(休日を除く)。児童、生徒は学習時間や仲間づくり、読書、卓球、ゲームなどの各種活動に取り組んでいる。

 1995年の阪神大震災発生後、学校へ行けなくなった児童、生徒が増加したことなどを教訓に、東日本大震災に起因する児童、生徒の個々の心理状況や家庭環境などにも目を向けながら適切な心のケアに努めているのも特徴だ。

 開所式では、境直彦教育長が「不安や課題を乗り越え、より良い生活を送ってください。皆さんの今後の活躍に期待しています」とあいさつ。県東部教育事務所の佐々木晃所長も「勇気を持って第一歩を踏み出した皆さん、自信につなげていきましょう」と熱いエールを送った。

 6人は自己紹介を交えながら「苦手な数学や英語を頑張りたい」などと目標を語り、今後の飛躍を誓っていた。

 昨年度の開所式では4人からのスタートだったが、夏休み以降徐々に増え、18人になったという。それでもスタッフの懸命な指導で児童1人、生徒6人が学校復帰を果たした。

 開設以来の通所児童、生徒数は496人。年平均17人。20年こそ18人だったが、17年は22人、18年は32人、19年は25人と増加傾向を示し、けやき教室の果たす役割や存在は年々高まっている。

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