生鮮カツオ初水揚げ 石巻魚市場、例年より10日早く 夏漁へ期待高まる
夏漁の到来を告げる生鮮カツオが28日、県内トップを切って石巻魚市場に初水揚げされた。例年より10日ほど早い花形の登場に港は活気づいた。
福島漁業(八戸市)の巻き網運搬船「第26惣宝丸」(375トン)が前日に八丈島沖で漁獲した約10トンを水揚げし、市場関係者が重さに応じて仕分けした。惣宝丸の中山陽介船長は「大型連休前の入港で幸先のいいスタートになりそう。魚体は大きいが身も柔らかく、鮮度もいいものが捕れた」と話した。
初カツオは2~3キロ物が中心だが、今年は10~12キロが平均と大型。入札価格も平均で1キロ当たり463円と、新型コロナウイルスの影響で需要減が懸念される中、上々の値が付いた。
カツオは暖かい水を好み、春になって黒潮暖流の水温が上昇すると群れが北上していく。石巻には8月中旬ごろまで水揚げが見込まれるため「今後は漁獲量も増えるのではないか」と関係者も期待に胸を躍らせる。
石巻魚市場の佐々木茂樹社長は「マグロのようなサイズが来ることは珍しい。より本格化したらさらに脂が乗ったものが石巻に出回るだろう」と喜んだ。
<コウナゴ、不漁で終漁へ>
県漁協は今季のコウナゴ漁を30日で切り上げることを決めた。期日までに水揚げがなければ石巻魚市場では2年連続でゼロになる。
石巻市開成の県水産会館で26日開いた県小型漁船漁業部会の火光利用敷網漁業委員会で漁の切り上げを決めた。
今シーズンの漁は7日に解禁されたが、11日に仙台湾沖で10匹程度確認されただけだった。今後、漁場を変更しても水揚げが見込めないことや来年以降の資源確保のため、操業期間の5月21日を待たずに終了することにした。
春の代名詞の不漁に、石巻魚市場の高橋光雄営業部次長は「暑さに弱いコウナゴは砂に潜って夏を越す夏眠で体力を温存するが、地球温暖化の影響で海水温が高くなり、潜ったまま死んでしまうケースもある。まだ数日あるが、個体数が少なくなっているので、(水揚げは)難しいかもしれない」と話した。