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東松島のあの日を語り伝える 東北地域づくり協会、震災記録誌作成

震災後の対応に当たった市職員や自主防災組織のメンバーらの生の声をまとめた記録誌

 東日本大震災の経験と教訓を全国の自治体に役立ててもらおうと、一般社団法人東北地域づくり協会(仙台市)は、東松島市の職員や自主防災組織の役員らの経験をまとめた記録誌「あの日を語り伝える」を作成した。約2000部作成し、全国の都道府県と市町村に無償提供する。

 A4判132ページ。阿部秀保前市長や市職員、市消防団員、自主防災組織の役員ら計53人に聞き取りした。遺体安置や罹災(りさい)証明書の発行、ごみ収集、避難所運営、がれき処理など189項目についてまとめた。「カップラーメンとかは来てたんですがお湯が沸かせない」など、具体的な状況や行動、教訓を口語体で記した。

 冊子作成は、南海トラフ巨大地震で最大34メートルの津波高が想定される高知県黒潮町が、防災計画に大震災の教訓を生かそうと2018年10月、同協会に協力を求めたことがきっかけ。協会は震災前から自主防災組織の設立などで先駆けていた東松島市に相談し、両市町の関係者による2度の座談会や、市職員らへの聞き取り調査を行った。黒潮町以外の自治体にも役立つと考え、冊子化した。

 10日、市役所で会見した協会の渥美雅裕理事長は「地形や気象、文化が異なる自治体でもヒントとなる構成を心掛けた。被災地には防災の知恵がある。発信することが、全国から支援を受けたわれわれの使命だ」と述べた。

 協会は同日、全国自治体に発送した。協会のホームページでも公開する。

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