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オリーブ搾りかすを餌に 石巻専修大教授が研究 宮水高生、ギンザケ食べ比べ

通常の餌と、オリーブ入り餌で育てたギンザケを食べ比べ、違いを確かめる生徒たち

 石巻専修大理工学部生物科学科の角田出(いずる)教授が進める養殖魚の魚臭さを抑えたり、成育を早めたりする餌の研究に、宮城水産高の生徒らが協力している。研究では東日本大震災後、石巻地方でも栽培が行われているオリーブの搾りかすを餌に活用。18日には通常の餌と搾りかすを混ぜた餌で育てたギンザケの食べ比べが同高で行われ、参加した生徒は「(オリーブを使った方が)おいしい。後味も爽やか」と違いを実感した。

 食べ比べは角田教授から研究内容を学ぶ講座の中で行われ、生物環境類型の生徒を中心に16人が参加した。角田教授は全国各地で進む養殖魚のブランド化に向け、魚臭さを抑えたり、食感を向上させたりする餌の研究を紹介。成育のスピードアップや給餌労力の低減にもつながるという。

 最近、注目されているのはかんきつ類を練り込んだ餌で、角田教授は大分県の「カボスぶり」、香川県の「オリーブハマチ」など、実例を挙げて紹介。「ブランド価値を高めていくことが産地間競争に勝つ鍵」と指摘した。

 食べ比べには、研究の一環で昨年11月から同高栽培実習場の養殖池でオリーブオイルを採取した後の搾りかすを混ぜた餌で約2キロまで育てたギンザケを使用。養殖には生徒も協力した。

 生徒たちは焼き魚にして、通常の餌で育てた物と食べ比べる「官能評価」に挑戦した。生物環境類型2年の丹野聖也さん(16)は「オリーブ入りの餌を使った方がおいしい。後味もいい。かんきつ類の爽やかさが生かされている」と、違いを実感していた。

 ギンザケは石巻地方と南三陸町で全国生産量の8割以上を占めるが、昨今のサーモン人気で、新たなライバルが登場しつつある。研究に協力している宮城水産高の畠山智宏実習講師は「オリーブ入りの餌は食い付きがよく、成育も早い。味も香りも通常の餌を与えたものより格段にいい」と手応えを話す。

 まだ研究段階だが、石巻市の支援事業でもあり、今後も実証実験を続け、実用化の道を探る。

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